研究領域 | 植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系 |
研究課題/領域番号 |
23012027
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松永 幸大 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (40323448)
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キーワード | 核 / DNA複製 / クロマチン / イメージング |
研究概要 |
メリステムを制御する細胞分裂特異的キナーゼに注目し、メリステムのサイズ決定、伸長領域への移行メカニズムを明らかにすることを目的とした。体細胞分裂や核内倍加を解析していくことに必須なDNA複製イメージング法を開発し、メリステム統御メカニズムの解明を目指した。 メリステムの伸長領域への移行をイメージング解析するために、植物のDNA複製イメージングを試みた。DNA複製起点はゲノム上に均等に分配されているのではなく、クラスター構造を取っている。その数百から数千ある複製起点の活性化のタイミングは、クロマチン構造の影響を受ける。例えば、ユークロマチン領域、ヘテロクロマチン領域の複製起点は、それぞれS期前期、後期に活性化される。その活性化のタイミングには、それぞれの染色体の核内配置が影響を与えている可能性がある。実際に、酵母や動物ではDNA複製は核内の特定領域にある、独立した複製フォーカスにおいて集中的に起こる。しかし、この複製フォーカスが植物に存在しているか、またはどのような動態を示すかは明らかになっていない。そこでDNA複製をイメージング解析するために、EdU(5-エチニル-2'-デオキシウリジン)を用いた。EdUはBrdUと異なり、検出に塩酸処理やBrdU抗体による免疫染色を必要としないことから、プロトプラスト化することなく、植物の組織を保持したままDNA複製のイメージング解析ができる。この手法により、細胞分裂活性の他に、DNA複製開始のタイミングも定量化することが可能になり、メリステムや伸長領域における細胞周期長の測定も可能になった。このことから時間の概念を導入したメリステム統御メカニズムの解明に貢献することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
メリステムにおける新たな知見をイメージング解析で得ることができた。そして、その解析積結果をPlant CellやBMC Plant Biol.などの学術雑誌に学術論文として発表できたから。
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今後の研究の推進方策 |
DNA複製イメージングによるメリステム解析結果を論文化することを推進する。 さらに、細胞分裂イメージングによるキナーゼの解析も進める。
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