研究領域 | 植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系 |
研究課題/領域番号 |
23012028
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
橋本 隆 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (80180826)
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研究分担者 |
加藤 壮英 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (70379535)
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キーワード | 微小管 / イメージング / 蛍光標識 / アラビドプシス |
研究概要 |
1) 表層微小管形成における微小管重合イベントの可視化 動物で最近発見されたγチューブリン含有環状複合体(gTuRC)の新規構成因子であるMORZARTl(Mitotic-spindle organizing protein associated with a ring of γ-tubulin 1)のアラビドプシスorthologs(MZTIa, MZTIb)の機能解析を行うとともに、細胞内局在性と動態を調べた。詳細な動態観察結果より、GCP2/3を含むgTuRCの一部として、微小管重合活性が昂進したMZT1含有gTuRC集団が存在することが示唆された。 2) 表層微小管不安定化の分子機構 Propyzamide-Hypersensiteive 1 (PHS1)は脱リン酸化酵素ドメイン以外に、非典型的なキナーゼドメイン(粘菌のAFKキナーゼに見られるが、動物では存在しないもの)を持ち、自己リン酸化とαチューブリンのリン酸化を引き起こすことを見出した。PHS1の脱リン酸化酵素ドメインを削除したり、脱リン酸化活性に必須なアミノ酸を変異させたPHS1をアラビドプシス細胞で発現させると、表層微小管が速やかに脱重合された。また、この微小管脱重合活性には、AFK様キナーゼのリン酸化活性に必須なアミノ酸が必要であった。従って、PHS1はリン酸化ドメインと脱リン酸化ドメインの両方を持つ複合タンパク質であり、通常は脱リン酸化活性がリン酸化ドメインのαチュープリンリン酸化活性を抑制していることが推察される。脱リン酸化ドメインがMAPK脱リン酸化ドメインに相当することから、リン酸化活性の抑制はMAPKを介する可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの項目について研究を行ったところ、微小管重合核とリン酸化シグナル関連の項目については、大きな進展が見られた。一方、セルロース微繊維の可視化については、作製した標識プローブが期待通りに機能しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1) GCP2/3、MZT1、微小管を異なる蛍光タンパク質で標識した3重マーカー系統を作製し、3者の相互関係を明らかにする。また、NEDDI1を含むgTuRCを精製し、MZT1複合体とNEDD1複合体が別物であるかどうかを検証する。 2) リン酸化されるPHS1のアミノ酸残基を同定サるとともに、PHS1を活性化する外界及び内部シグナル系を模索する。 3) セルロース可視化プローブを改良する。
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