• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

高等植物の表皮分化機構の確立と維持に関わる転写因子の解析

公募研究

研究領域植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系
研究課題/領域番号 23012032
研究機関岡山大学

研究代表者

高橋 卓  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20271710)

研究分担者 本瀬 宏康  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70342863)
キーワードシロイヌナズナ / 表皮細胞 / 発生・分化 / 突然変異 / 分子遺伝学 / 遺伝子発現
研究概要

植物のからだ作りにおいて,表皮細胞分化は不可欠である。シロイヌナズナの地上部表皮幹細胞,すなわち茎頂L1層に特異的な遺伝子発現には転写因子PDF2,ATML1が中心的なはたらきを担う。本研究では,PDF2,ATML1の発現調節領域,発現様式の解析から,胚発生過程において,PDF2,ATML1の発現がどのようにL1層に限定され,茎頂L1層が確立するのか,その分子基盤の解明を目標とする。
1)胚発生過程でPDF2の発現がL1層に限定される分子機構
PDF2タンパク質のC末端側に保存されたSTARTドメインが,他のタンパク質性因子と相互作用する可能性を考え,酵母の2ハイブリッド法を用いて標的因子の探索を行った。これまでに単離した7遺伝子のうち,3つがRNA結合タンパク質,2つがリングフィンガーモチーフを持つユビキチンリガーゼをそれぞれコードしていた。
2)HD-ZIP IVファミリーに含まれる各遺伝子の機能
T-DNAがSTARTドメインをコードする配列の比較的前方に挿入されたpdf2-1変異と他のHD-ZIPIV遺伝子変異の二重変異を作出すると,pdf2-1 hdg1-1, pd12-1 hdg2-3などにおいて,花小器官にホメオティック変異の表現型が見られる。STARTドメインのコード領域下流にT-DNAが挿入されたpdf2-2変異は,pdf2-1同様,pdf2-2 atml1-1では表皮欠損,pdf2-2 atml1-2では胚致死の表現型をもたらすが,上記のhdg遺伝子変異との二重変異では全て正常な花小器官を形成した。花の形態異常はpdf2-1がヘテロ接合の二重変異でも観察されることから,STARTドメインを欠いたpdf2-1タンパク質が他のhdg変異背景で機能している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究対象のPDF2タンパク質について,C末端側に保存されたSTARTドメインは機能不明であったが,本年度の解析から分解制御の標的である可能性が示唆され,今後の研究展開につながる重要な手がかりが得られたと判断される。

今後の研究の推進方策

PDF2の3'UTRのHDGボックスについては,その意義を明らかにすべく,レポーター遺伝子を用いたさらに詳細な発現解析をすすめる。酵母2ハイブリッド法で単離したPDF2の相互作用タンパク質の候補について,機能解析を行う。計画通り進められなかった,酵母の1ハイブリッド法によるPDF2上流の転写制御因子の探索も加えて,PDF2のL1層発現限定の分子機構の解明,およびその他のHD-ZIP IV遺伝子の機能解明を目指したい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] NIMA-related kinases 6, 4, and 5 interact with each other to regulate microtubule organization during epidermal cell expansion in Arabidopsis thaliana2011

    • 著者名/発表者名
      Motose, et al
    • 雑誌名

      The Plant Journal

      巻: 67 ページ: 993-1005

    • DOI

      10.1111/j.1365-313X.2011.04652.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Key proliferative activity in the junction between the leaf blade and leaf petiole of Arabidopsis thaliana2011

    • 著者名/発表者名
      Ichihashi, et al
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 157 ページ: 1151-1162

    • DOI

      10.1104/pp.111.185066

    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナの表皮欠損変異pdf2-1 atml1-1の最外層細胞の同一性2012

    • 著者名/発表者名
      山田雄介
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] シロイヌナズナの表皮分化に関わる転写因子PDF2の機能欠損変異pdf2-2の解析2012

    • 著者名/発表者名
      小川枝里子
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      2012-03-16
  • [学会発表] シロイヌナズナHD-ZIP class IV遺伝子の多重変異体に見られる器官形態異常2011

    • 著者名/発表者名
      鎌田直子
    • 学会等名
      日本植物学会第75回大会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] NIMA-related Kinases Redundantly Regulate Directional Cell Expansion in Arabidopsis thaliana2011

    • 著者名/発表者名
      Motose, et al
    • 学会等名
      22nd International Conference on Arabidopsis Research
    • 発表場所
      Madison, WI, USA
    • 年月日
      2011-06-23

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi