研究概要 |
成長にともない、側生器官として葉を形成する栄養成長メリステムは、生殖成長メリステムに相転換し、花を発生・分化させる。この過程は花成とよばれ、光周期、植物ホルモン、温度の影響を受ける。本研究では、概日時計による植物発生過程の制御に焦点をあてる。我々の仮説「LHY/CCA1によるブラシノステロイドホルモン応答の制御」を検証し、「内因性リズムと外因性リズムの相互作用による個体サイズと花成の新規な統合制御メカニズムの探索」を研究目的とした。 課題1:lhy;cca1及び35S:SVPの器官長短縮形質の解析(顕微鏡観察による組織学的解析、植物ホルモン応答性に関する解析)、課題2:lhy;cca1の器官長短縮形質の増強変異体petanko(pta)の分子遺伝学的解析(pta1-6の解析)、課題3:PTA7の機能解析の3課題を実施した。課題1については、SEM解析により、lhy;cca1の葉表皮細胞サイズが野生型よりも小型化することを確認した。また、lhy;cca1、35S:SVPともに、発芽後の胚軸長がBR以外の植物ホルモンの影響を大きく受けないことを見出した。課題2では、pta3,4の染色体座上位置に関してラフマッピングを行った。課題3では、PTA7IPsのT-DNA挿入株を用いて、遺伝子破壊の胚軸長と花成時期への影響を解析した。 本研究と関連分野研究の有機的な結合・相互作用により、植物工場ばかりでなく特殊環境下における作物生産や家畜繁殖の実現に向けた研究を加速すると期待される。
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