公募研究
本研究では、生殖細胞系列のエピゲノム基盤として、マウスインプリント領域(DMR)の系統的単離・同定と領域内分子機構の解明、ヒトへの保存性を基に、ヒト生殖補助医療(ART)がゲノムインプリンティング機構に与える影響と異常を起こす分子機構について明らかにすることを目的とする。2年の期間内に以下の3つのサブ研究テーマを遂行する。初年度は、以下のテーマについて検討した。(1)網羅的メチル化インプリント領域(DMR)の同定と様式の特徴の解析:マウスDMRの候補領域より、新規DMRを同定し、GI遺伝子とGI領域の分子機構について明らかにし、GI領域の境界や調節領域の分子機構について解析した。その結果、新規のDMRとしてマウス1番染色体上に、Zdbf2-Gpr1領域に3つ新たに発見し、精子形成過程で、メチル化酵素(Dnmt3a,3b)依存的にメチル化される事が判明した。また、Zdbf2、Gpr1遺伝子はいずれも父由来発現を示すインプリント遺伝子であることも判明した。(2)ヒト・マウス間のDMRの比較エピゲノム解析:(1)で明らかとなった新規DMR領域と22箇所の既知DMRの構造と機能の保存性について、ヒト、マウス間での共通性、多様性、相互性、連続性について比較ゲノム解析を行った。その結果、精子型インプリント3領域と卵子型インプリント19領域を、正常血液細胞、精子細胞を用いて明らかにした。また、この領域内に含まれるDNA多型も明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要で示した通り、目標どおりに達成できた。また同時に、ヒトインプリント領域の同定ではDNA多型を明らかにした。この結果を基に、正確なメチル化インプリントの解析が可能となり、今後の臨床検体を用いた解析では、より信頼のおける成果が得られると予想される。
これまでに得られた成果を基に、ヒト男性精子のインプリント異常について、網羅的な解析を正確に行い、その異常の頻度、程度、影響を受けやすい領域を明らかにする。また、異常のパターン分類により、DNAメチル化異常の発症メカニズムについて、総合的に検討する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (4件) 図書 (5件)
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