公募研究
本研究では、ショウジョウバエをモデルにして減数分裂遺伝子の発現制御ならびに精子核の凝縮に必要なエピゲノム制御因子の同定とそれを中心とする制御ネットワークを明らかにすること、また新規RNA結合タンパク質ファミリーLARPsがショウジョウバエの生殖系列細胞でのエピゲノム制御に必要との結果を得たので、その標的遺伝子群の同定と発現抑制機構を解明することを目的としている。1.ヒストンメチル化酵素と相互作用するエピジェネティック制御因子の遺伝学的同定:ヒストンメチル化酵素G9aをショウジョウバエ複眼原基細胞にて大量発現させると成虫複眼が異常となる。この遺伝学的相互作用に基づく大規模スクリーニングにより、昨年度までに同定したDeficiency系統のデータを基盤としたさらなるスクリーニングの結果、star、CG4988、fb16、CG15387の4つの遺伝子がdG9aと遺伝学的に相互作用することが示唆された。2.雄減数分裂と精子形成に必要なRNA結合タンパク質ファミリーLARPsの解析:ショウジョウバエのlarp1遺伝子は精子形成に必要なRNA結合タンパクをコードする。これと相同な配列をもつLARPファミリー(LARP4,6,7)の突然変異体を作製し,解析した。LARP7は7SK snRNAに結合して、転写に抑制的に働く。これが精巣の発生に必須なこと、減数分裂時の染色体分配と細胞質分裂にも必要なことがわかった。larp1,4,6はlarp7と遺伝学的相互作用を示した。LARP6も精巣および卵巣の発生に必須であった。LARPsは互いに協調して、精子形成に必要な遺伝子群のエピゲノム制御をおこなっている可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
予定していたように、dG9aと相互作用する遺伝子が同定されつつある。LARPファミリー遺伝子に関してもその解析ツールの準備が整った。
今後は、これまでにすでに作製に成功しているヒストン脱メチル化酵素Jumonji(Jarid2)に特異的な抗体を用いた免疫染色法を行い、Jumonjiの精子形成過程における動態を明らかにするなどさらに幅広区展開して行く。LARPsが互いに協調して、精子形成遺伝子群のエピゲノム制御をおこなうことと、それらの標的RNAを明らかにして行く。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (3件)
Am J.Cancer Res.
巻: 2 ページ: 36-44
Nucleic Acids Res.
巻: 40 ページ: 1460-1474
J.Biomed.Biotech.
10.1155/2012/252049
Gene
巻: 495 ページ: 104-114
Genesis
巻: (印刷中)
doi:10.1002/dvg.22017
Chromosome Res.
巻: 20 ページ: 319-331
Mol.Cell.Biol.
巻: 32 ページ: 319-331
Proc.Natl.Acad.Sci.USA
巻: 109 ページ: 4986-4991
Cell and Tissue Research
J.Cell Science