研究領域 | 生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク |
研究課題/領域番号 |
23013023
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
酒井 則良 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 准教授 (50202081)
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キーワード | 減数分裂 / 精子形成 / シナプトネマ構造 / ENU変異体 / ゼブラフィッシュ / ポジショナルクローニング |
研究概要 |
脊椎動物における減数分裂過程の分子機構を解明することを目的に、申請者は変異誘発剤ENUによるゼブラフィッシュ生殖腺形成異常変異体のスクリーニングを進め、減数分裂が始まるプレレプトテンで異常を示す変異体1系統itsとレプトテンからザイゴテン期で異常を示す変異体2系統isa,imoを単離した。平成23年度はこれらの変異体の原因遺伝子のポジショナルクローニングを進め、its変異体では682個体による連鎖解析から染色体23の3.3Mbの領域に、isa変異体では1236個体から染色体6の561kbの領域に、imo変異体では407個体から染色体24の730kbの領域に原因遺伝子があることが分かった。 連鎖解析で狭められたisa変異体の候補領域には16遺伝子が存在することがデータベースで確認できたため、それらの遺伝子の塩基配列を読んだところ、シナプトネマ構造タンパク遺伝子sycp1の翻訳領域中にナンセンス変異が入っていることが分かった。現在、リコンビナントタンパクを用いて抗体の作成を進めており、予備実験ではあるが、抗血清を用いた免疫組織化学でisa変異体の精巣ではSycp1が消失していることが確認できている。抗体精製後、詳細な表現型解析を進める予定である。一方、its変異体では原因遺伝子候補領域に41遺伝子がデータベースから見つかっており、約半数ほど塩基配列を決定したが、まだ変異をもった遺伝子は見つかっていない。現在、他の遺伝子の塩基配列を順次決定しているところである。また、imo変異体では25の候補遺伝子を絞り込むことができたため、これらも順次塩基配列を決定していく。申請者の知る限り、塩基配列を未決定の遺伝子はすべて減数分裂時の役割が報告されておらず、これらの原因遺伝子から脊椎動物における減数分裂時の新規の分子機構を明らかにできる可能性が高まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も時間のかかる連鎖解析を順調に終えることができ、変異体の一つから原因遺伝子を同定できている。他の変異体の候補領域内の遺伝子の塩基配列決定も遅滞なく進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
連鎖解析、原因遺伝子候補領域内の遺伝子の塩基配列決定、リコンビナントタンパクからの抗体の作成等、順調に進んでおり研究計画の変更の必要性はない。研究計画通りに遂行する予定である。
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