研究領域 | 生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク |
研究課題/領域番号 |
23013024
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
李 智博 神戸大学, 大学院・農学研究科, 特命助教 (50372660)
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キーワード | 応用動物 / 発生・分化 / コヒーシン / 染色体 / 減数分裂 / 相同染色体の組換え |
研究概要 |
コヒーシンは、4つのサブユニットから成るタンパク質複合体であり、複製されたDNAを姉妹染色分体として分裂後期の開始まで接着する。申請者らは、これまでに体細胞分裂型のコヒーシンサブユニットRAD21は、減数分裂において、RAD21LやREC8に置き換わることを報告している。本申請課題の目的は、減数分裂期コヒーシンがどのように相同染色体の対合や組換えに関与するかを明らかにし、そこにエピジェネティックな修飾(DNAメチル化やピストンの修飾)が関与するかを探ることである。 これまでに得られている結果から、RAD21LとREC8は相同染色体の対合・組換えの場となるシナプトネマ構造上で、お互いに排他的に局在することが示唆されている。しかし、シナプトネマ構造上のどのような位置に局在するのか、その詳細な位置は明らかではない。現在、我々は2つの方法でこの局在を決定しようとしている。まず、分解能の高い3D画像を得られる光学顕微鏡システム3D-SIMを用いて、シナプトネマ構造におけるRAD21LとREC8の位置関係を決定しようとしている。また、ChIP-Sequence法により、両者のゲノムワイドな局在位置を明らかにする実験も試みている。これらの解析からコヒーシンの種類により染色体上の局在が決まれば、相同染色体が対合するときにどのようにお互いを認識し、染色体全体に渡って対合状態を維持できるのか、その分子的基盤の理解に大きく貢献できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属研究機関に変更があったので、研究環境の整備や動物実験および遺伝子組換え実験の計画書の承認などに時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、RAD21Lのノックアウトマウスを用いて、RAD21Lの生体内機能を明らかにする。また、コヒーシンのChIP-Seq法により得られた情報と既知のゲノムワイドなエピジェネティック修飾との情報を比較することにより、RAD21LやREC8の染色体上の局在位置がどのように決まるのかを検討するとともに、これらの抗体を用いた共免疫沈降法により、各種の修飾を受けたヒストンなどとの相互作用を探る。
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