研究領域 | バルクナノメタル ー常識を覆す新しい構造材料の科学 |
研究課題/領域番号 |
23102509
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
宮本 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10298698)
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キーワード | ナノ結晶材料 / 電解共析法 / 強度 / 析出強化 / 分散強化 / 機械的性質 |
研究概要 |
本公募研究班の目的は、電着法により母相の結晶粒径よりもさらに微細な分散粒子を含むバルクナノメタルを作製し、強度や変形機構に及ぼす分散粒子の影響を明らかにするとともに、ナノ結晶材料の分散強化の可能性や、熱的安定性向上の可能性を明らかにすることを目的とする。平成23年度は、これまでの予備試験結果をもとに酸化物としてWO_3に焦点をあてて、電解条件とWO_3析出量、分散粒子径、母相結晶粒径等の関係を明らかにした。電流密度やWO_3懸濁量等を変化させて実験を進めたが、申請書にも記載したように、WO_3粒子は電析過程で10ナノメートル以下に微粒子化されて、母相Ni電着板に取り込まれていることを確認した。現在は厚さが0.1ミリが限界であるため、機械的性質として硬度試験を行い、結晶粒径が同程度のナノ結晶純ニッケルよりも100HV程度、増加していることを確認した。しかし、オロワン機構から推定される硬度上昇には至らなかった。原因としては、ナノ結晶材の変形機構(たとえば粒界すべりなど)に起因する本質的な現象なのか、あるいはWO_3の分散性や微粒子化していない粒子による実質的なWO_3減少かは明らかにできていない。今後の課題である。次年度は、公募班研究の最終年度となる。まずは本年度の課題として残った以下の項目ついて検討を行う。(1)WO_3粒子の分散性の向上、(2)WO_3析出量の増加。いずれも電解液の調整が重要となるが、現在の構成員では難しい課題でもあり、さらに専門の研究者との連携を考えて研究を進める。そして、分散微粒子がナノ結晶金属の機械的性質に及ぼす影響を検討し、その変形機構の解明に寄与するとともに、分散強化や熱的安定性の可能性を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおりに、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更は予定していない。次年度は最終年度となるため、データを整備し、論文発表につなげる。
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