公募研究
超伝導ギャップ構造の決定は超伝導発現メカニズムを解明する上で重要な役割を果たす。本研究では、方位を精密制御した磁場中で様々な重い電子系超伝導体の比熱を極低温まで測定し、それぞれの超伝導ギャップにおけるノード構造を決定することを目的としている。平成24年度には、前年度までに行ったCeIrIn5とUPt3に関する角度分解磁場中比熱測定の結果を論文にまとめて公表し、国際ワークショップなど2件の招待講演の依頼を頂いた。特にUPt3に関しては、c軸から30度以内の磁場角度範囲で超伝導が異常に壊れやすくなっていることを見出し、さらに最近有力視される2回対称性を有する超伝導ギャップが比熱では奇妙なことに検出されないことを明らかにした。これらの結果は、UPt3超伝導の謎を解明する上で重要な手掛かりになると期待され、本研究成果をまとめた論文はJPSJ注目論文に選定された。本年度は加えて異方的s波超伝導体CeRu2、重い電子系超伝導体CeCu2Si2について角度分解磁場中比熱測定を行った。CeRu2は純度の異なる2つの試料について測定を行い、回転磁場中比熱の相対振動振幅がギャップ極小の大きさに対応した磁場下で温度とともにゼロに減衰することを明らかにした。この結果は、微視的理論計算から予測される振る舞いと良く一致しており、本手法が異方的s波ギャップの評価にも有用であることを示している。CeCu2Si2に関しては現在も研究が進行中であり、超伝導対称性に関する重要な知見が得られつつある。他にも一軸性圧力下極低温比熱測定装置の開発を進め、一軸性圧力下での比熱測定からCeIrIn5の超伝導転移(Tc=0.4 K)を観測することに成功した。これにより今後、一軸性圧力下比熱という新たなアプローチから超伝導研究を行うことが可能となった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
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http://sakaki.issp.u-tokyo.ac.jp/
http://sakaki.issp.u-tokyo.ac.jp/user/kittaka/index.html