公募研究
空間反転対称性がない系の物性物理学が広く注目を集めている。エキゾチック超伝導、カイラル磁性、トポロジカル絶縁体、マルチフェロイクスなどその華やかな具体例には事欠かない。これらに共通する特徴は、スピン軌道相互作用を通じて興味深い現象が生じる、ということである。本研究課題では、「空間反転対称性がない系の超伝導」の概念を拡張し、「局所的な空間反転対称性がない系の超伝導」という概念を提唱した。結晶構造全体には空間反転対称性がないが、主要な原子サイトが反転中心にならない物質が「局所的な空間反転対称性がない系」である。簡単な具体例として多層系超伝導を考え、局所的な空間反転対称性が破れて結晶構造に由来するスタッガードなラシュバスピン軌道相互作用が超伝導に与える影響を調べた。その結果、(1)超伝導秩序変数にもパリティ混成が起こること、(2)スピン軌道相互作用と面間ホッピングの比を大きくすることで「空間反転対称性がある超伝導」から「空間反転対称性がない超伝導」へのクロスオーバーが起こること、(3)クロスオーバー領域において、ペア密度波相、複素ストライプ相、非ユニタリースピン三重項超伝導、時間反転対称性を破るパリティ混成超伝導、など様々なエキゾチック超伝導相が安定になること、などを発見した。また、実験グループとの共同研究により、CeCoIn5/YbCoIn5人工超格子においてこれらの兆候が見られることを示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 82 ページ: 043703
10.7566/JPSJ.82.043703
Phys. Rev. B
巻: 86 ページ: 134514
10.1103/PhysRevB.86.134514
Phys. Rev. Lett.
巻: 109 ページ: 157006
10.1103/PhysRevLett.109.157006
http://bussei.gs.niigata-u.ac.jp/~yanase/