研究領域 | 重い電子系の形成と秩序化 |
研究課題/領域番号 |
23102724
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
柳町 治 (酒井 治) 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ビームユニット, NIMS特別研究員 (60005957)
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キーワード | 物性理論 / 磁性 / 強相関 |
研究概要 |
研究目的:CeおよびYb化合物へのDMFTバンド計算の適用により、4f電子系の光電効果、動的磁気励起、フェルミ面構造を統一的に捉える第一原理計算の枠組みをつくる。補助的1不純物問題を解くnon-crossing approximation with f2 vertexcorrection(NCAf2vc)ルーチンの独立化と計算安定性を高め、これを他のバンド計算グループのプログラム群と連結して共同研究を進める。 本年度の実施計画の結果:現在稼働中のLMTO+NCAf2vcコードのプログラムをversion1として、(1)version1をCePd3、CeRh3、CeSn3、CeIn3へ適用して、動的磁気励起、フェルミ面構造等の実験との比較を行う。これにより計算法のノウハウの蓄積をする。(2)NCAf2vcの独立化を行うこととYb系に適用可能なコードへ拡張して、汎用性の高いversion2コードを開発する。現DMFTコードを非立方対称系に適用可能な形に発展させる。 (1)の部分は計画をほぼ完了し結果を公刊した。CePd3、CeRh3、CeSn3のフェルミ面構造はLDA計算と同等なものが得られた。近藤温度の低いCeIn3についてはDMFTはLDA計算と異なる結果を導き、dHVA効果の実験はDMFTの結果に合致することが示された。サイクロトロン質量についてDMFTは正しい大きさの程度を与える。本課題をきっかけに米アルゴンヌ研のJ.M.Lawrence氏、原研計算センターの鈴木道人氏と波数ベクトル依存磁気励起の共同研究を開始した。(2)についてはNCAf2vcの独立化は終了した。Yb系へ適用可能なコードに拡張する部分は作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題の目的は(1)version1によるAuCu3型Ce化合物への適用によりこれらの系の電子状態の特徴を明らかにすること、また、DMFT計算のノウハウを蓄積すること、(2)version2の開発により、Yb系と非立方系への適用を進めることである。(1)の部分については初期の目的を充分に達成した。ノウハウの点ではFermi面決定のための電子数の計算法の問題の発生やその克服、神戸大播磨氏との共同研究によるdHvA振動数計算、サイクロトロン質量計算プログラムとの結合などへの展開と進展があった。一方、(2)については、震災にともなう節電体制の影響で(1)の部分の計算に時間を取られ、Yb系への適用の完了ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は24年度で終了となる。24年度中に目標であるYb系への適用が可能となるようNCAf2vcコードの改修を進める。また、アルゴンヌ研J. M. Lawrence氏、原研計算センター鈴木道人氏との共同研究によるCePd3の波数ベクトル依存磁気励起の計算を進める。
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