金属/超伝導体接合において接合界面に磁性が存在する場合の金属領域におけるマイスナー効果を調べた。対称性の破れによって金属中に奇周波数(時間について奇関数の)クーパー対が誘起されることを反映して、帯磁率が正つまり磁場を排除しない状態になりうることが分かった。従来の超伝導(マイスナー効果)では帯磁率は常に負であり、対称性の破れにより新奇な現象が現れることが発見できたといえる。 また、従来異方的超伝導体の表面状態として知られていた平坦なアンドレーフ束縛状態を、トポロジカル不変量を用いて特徴づけることに成功した。アンドレーフ束縛状態は近年、並進対称性の破れにより誘起される奇周波数クーパー対という観点からも理解が進んでおり、奇周波数クーパー対とトポロジカル不変量との関係の理解にも貢献するものと思われる。 一方で、トポロジカル絶縁体に強磁性体を載せた系で接合界面に電流を流すことにより、磁化にトルクが働く場合に磁化の運動方程式を数値的に解くことで磁化のダイナミクスを明らかにし、特に電流誘起磁化反転が起こりうることも示した。 磁性半導体p-In0.96Mn0.04As/超伝導体接合において行われたトンネルコンダクタンスの測定に対して、磁性が超伝導体に侵入する逆近接効果を考慮に入れたモデル計算により実験データを解析することでp-In0.96MnO.04Asのスピン分極率を見積もることに成功した。 また、強磁性体/トリプレット超伝導体接合において磁化のダイナミクスによりパンプされた電流を調べた。局在スピンがクーパー対のトリプレットベクトルが作るベクトルカイラリティと結合して、電流が生成されることがわかった。
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