エアロジェル中に形成される"汚れた"フェルミ液体と超流動ヘリウム3の近接系における、エアロジェル中の液体ヘリウム3に浸み出した超流動秩序状態に起因する帯磁率の異常を観測する。これによりエアロジェル中に浸み出す秩序状態を検証する。具体的にはSQUIDを用いた、高感度の磁化・交流帯磁率同時測定を行う。また、連携研究者の理論的解析結果をフィードバックし、両者を反映することで速やかに研究を推進する。 研究代表者の研究室では、SQUID(磁束量子干渉計)を零点検出器に用いた交流インピーダンスブリッジを利用した、静磁化と交流帯磁率の精密測定装置を開発した。本装置は、これまで重い電子系物質の磁気的特性解明の実験に用いられ、磁場範囲0~6.21mT、最低温度150μK、周波数12~160Hzの測定範囲まで温度依存性および磁場依存性の測定が可能になっている。本研究では基本的に、この測定装置を利用して研究を行う。 平成23年度は、この測定装置に適応する、液体ヘリウム3-エアロジェル近接系の実験セルを設計、製作を行った。その結果、ヘリウムの磁気的変化をとらえることのできる測定セルが設計できた。新しい測定セルを作製する必要があるが、研究代表者はエアロジェル中の液体ヘリウム3の研究を行ってきており、エアロゲルの合成を進めた。樹脂製測定セルの耐圧試験が行われた。ヘリウムでの測定用に新たに用いるSQUIDプローブの冷凍機への設置を行った。 領域での研究会等に参加して領域内の他の研究者と議論、打合せを行うことで情報収集を行った。
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