研究領域 | 対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象 |
研究課題/領域番号 |
23103509
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 豊 京都大学, 低温物質科学研究センター, 准教授 (60205870)
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キーワード | 低温物性 / 超流動 / テクスチャー / NMR / MRI |
研究概要 |
本研究では超流動3Heの中に出現するトポロジカルオブジェクトを実空間で可視化し制御することを計画している。その基幹技術となっている周波数分脚RIの測定技法を確立するため、コンピューター上のテストベンチで開発してきたスキームが実際に有効に機能することを素性の良く分かっている常流動状態の液体3Heを対象にして確かめた。まずは、既知の方向に線形に空間変化する傾斜静磁場をかけた上で、それを考慮せずに周波数分解MRI測定を行い、傾斜静磁場により人為的に生成された周波数分布を回復出来るかどうかテストし、概ね期待通りの結果を得た。また、この技法が超流動3Heに対して適用可能であることを実証するためには、安定かつシンプルなテクスチャーが推定出来る構造の試料容器に閉じ込めた超流動3Heが必要となり、そのため縦5ミリ横10ミリにわたって100ミクロンの間隔を持つ平行平板セルを開発した。体積の小さな平行平板蔀分に試料である液体ヘリウムを導入するためのバルクの接続部分からの膿信号が混入しないように工夫した複雑な構造の試料容器を開発した。その際、平行平板部分のセル表面の平坦度と平行度をミクロンレベルまで向上させるためにも工夫を凝らした。また、平坦部分のセル壁はNMRの信号強度を犠牲にすることなく十分な強度を保つことのできる形状を工夫した。現在はこの平行平板セルを用いた実証実験の準備をすすめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本計画の申請段階においてはこの研究に従事することが期待されていた研究員の転出や、研究予算が最終的には配分されたものの当初は大幅にカットされ全額配分の見込みすら年末まで不明であった等、数々の悪材料が重なった結果、研究計画の進行は当初計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画より遅れてはいるものの、内容としては予定通り進展している。研究協力者である大学院生もかなり習熟して来たので今後加速的に進めていけるものと期待している。
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