研究概要 |
電子状態に基づく物質デザインの基礎として、本研究では、大行列線形計算における新しい数理アルゴリズムを構築し、その成果を物質科学に直接反映させるための理論研究を行った。研究遂行にあたり、当領域AO1-3班メンバーである、曽我部知広(愛知県立大)、張紹良(名古屋大)、宮田考史(名古屋大)、山本有作(神戸大)、との連携を密にはかり、計算科学と計算機科学の接点となることを目指している。本年度は、大規模電子状態計算の基礎として、種々のクリロフ部分空間解法を構築した;一般化シフト型Conjugate-Orthogonal Conjugate-Gradien法(発表論文1), 一般化Lanczos法, 一般化Arnoldi法(発表論文1), 多重Arnoldi法(*), Arnoldi(M,W,G)法(発表論文2),一般化シフト型準最小残差法(Sogabe et al. submitted)。このうち多重Arnoldi法にもとづき、1000万原子系までについて、オーダーN性と並列効率を確認した(*)。約1000万原子系でのMPI/OpenMP混合並列化を行った。具体的には、SGI Altix ICE 8400EX 1024コアまで利用して、1MDステップ全体で並列効率α=0.994、電子状態計算部分だけならα=1.00の並列効率が得られた。(*)T. Hoshi, S. Yamamoto, T. Fujiwara, T.Sogabe, S.-L.Zhang, J. Phys.: Condens. Matter, inpress.
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