応募者らによる非平衡量子統計力学分野の一般論を、光科学で問題にする、動的なポンプ場で駆動される非平衡状態の応答に拡張した。具体的には、単一バンドの電子系の場合の定式化を完成し、論文として発表した。さらに、この成果を、マルチバンドの電子系に拡張した。その結果、有効ハミルトニアンの、ベクトルポテンシャルの2次の項を正しく求まることがポイントだとわかり、具体的な表式を得た。 また、物質の非線形応答を分子動力学法により求める、という研究を推し進め、物質の電場に対する非線形応答を、プローブ電場の周波数の様々な組み合わせについて、分子動力学法で求めることができた。 さらに、平衡状態をたった1個の量子純粋状態で表すという、まったく新しい量子統計力学の定式化に成功した。この成果は基礎物理としても応用の観点からも多くの興味を集め、論文は、Phys. Rev. Lett. に掲載されて、Editors' suggestionに選ばれた。
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