本研究では、光ファイバー・ベースでの高レベルスクイーズド光発生・制御技術を拡張性の高い形で確立するため、トロイド型微小共振器を用いることで連続光に対するスクイージングおよびエンタングルメント生成を目指している。トロイド型微小共振器は、シリコン基板上にモノリシックに形成されたWhispering-Gallery-Mode(WGM)型共振器であり、高いQ値と小さなモード体積を併せ持つ上、テーパーファイバーを介して一般的な単一モード光ファイバーと高効率に結合する。さらに、標準的な半導体微細加工技術であるフォトリソグラフィーとエッチングにより、性質の揃った共振器を1枚のシリコン基板上に大量に作製することができる。トロイド共振器を用いて高レベルのスクイーズド光を発生させるためには、可能な限り高いQ値を持つ共振器の作製技術を開発することが最も重要である。そこで、今年度は作製プロセスを最適化し、より高いQ値の実現を目指した。特にエッチングプロセスの等方性を高めることで、従来は直径50μm以下の小径共振器では困難だった108オーダーのQ値を得ることに成功した。さらに、共振器内で発生した高レベルのスクイーズド光を劣化させずに光ファイバー中を伝搬させるには、共振器との結合部分であるテーパーファイバーに透過率の高いものを用いる必要がある。我々は、テーパーファイバーの透過損失に関する詳細な検討に基づいた高透過率テーパーファイバーの作製技術を確立し、99%以上という極めて高い透過率を達成した。
|