研究領域 | 半導体における動的相関電子系の光科学 |
研究課題/領域番号 |
23104718
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高須 洋介 京都大学, 理学研究科, 助教 (50456844)
|
キーワード | 量子縮退 / イッテルビウム / リチウム / フェルミ縮退 |
研究概要 |
平成23年度では、希土類原子であるイッテルビウム(Yb)原子と、アルカリ原子であるリチウム(Li)をスピン自由度を生かしたまま光トラップ中に同時に捕獲し、蒸発冷却することでYb原子およびLi原子の同時量子縮退に成功した。Yb原子は数十μK、Li原子は数百μKまで磁気光学トラップ中で冷却される。これらを保存力である光トラップに再捕獲した。光トラップの光源としては、波長1070nmで発振するファイバーレーザー、および1083nmで発振するファイバーレーザーの2台を用いた。これはYb,Liの共鳴より赤方離調であるため、Yb、Li原子を共に捕獲することが可能である。また、トラップ光の吸収もほとんど無視することができ、後述する蒸発冷却には最適のトラップ光源である。光トラップに捕獲したYb、Li原子を蒸発冷却によりさらに数百nK程度まで冷却した。光トラップ中で共同蒸発冷却することで、それぞれ量子縮退した混合原子団を生成することに成功した。フェルミオン(6Li)-フェルミオン(173Yb)原子の同時フェルミ縮退では、温度はLi原子が220nKでフェルミ温度の0.07倍、Yb原子が170nKでフェルミ温度の0.52倍であった。また、フェルミオン(6Li)-ボソン(174Yb)の混合系を用いて、BEC-フェルミ縮退混合系の生成にも成功した。温度はLiが290nKでフェルミ温度の0.08倍、YbはBEC転移温度以下の280nKであった。アルカリ・2電子系の混合における量子縮退の実現は、ボース凝縮・フェルミ縮退のいずれの組み合わせを含めても本研究が世界で初めての成果であり、その意義はとても高いと考えている。 またYb-Li間の散乱長制御や、3次元光格子の構築についても研究を進めている。これら成果は国内外の国際学会で発表したほか、一部を投稿論文にて発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
希土類原子であるイッテルビウム(Yb)原子と、アルカリ原子であるリチウム(Li)をスピン自由度を生かしたまま光トラップ中に同時に捕獲し、蒸発冷却することでYb原子およびLi原子の同時量子縮退に成功した。アルカリ・2電子系の混合における量子縮退の実現は、ボース凝縮・フェルミ縮退のいずれの組み合わせを含めても本研究が世界で初めての成果であり、その意義はとても高いと考えている。この同時量子縮退の実現は、本研究遂行のために一番困難な課題であったが、それが予定通りに達成できたことは、非常に意義の高いことであると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、3次元光格子系を構成している。また原子間相互作用の変化を光格子中で行うことでより感度の良い手法で観察することを計画しており、研究は当初の計画通りに進展するものと考えている。
|