1、硫黄修飾金に担持したPd触媒(SAPd)を用いたフローシステム試作機(第2世代)を作製した。すなわち、前年度に得ら れたフローシステム試作機(第1世代)の結果を基に、マイクロウエーブを利用したより効率の良い、セミフローシステム試作機(第2世代)を作製した。 2、基板表面を反応場とする環境調和型有機金属触媒の開発:既に明らかになっているSAPd catalystの新機能 、即ちSAPd中のAu-S結合、S-Pd結合が従来の結合に比べ強い事と前度中に得られた「半導体や金属でサ ンドイッチされた硫黄」に関する特性を利用し、計算科学・最先端分析機器を駆使して、基板表面を反応場とする 環境調和型金属触媒(複数回利用が可能で、反応溶液中への金属種漏洩がほとんど無い。Pd以外の金属触媒)を論理的に開発する手法について検討した。具体的には、最先端計算科学(第1原理計算)、放射光利用施設SPring-8でのX線微細構造解析(XAFS)実験、物質・材料研究機構NIMSでの透過型電子顕微鏡実験により、SAPdの構造を解析し、SAPd中のパラジウム、硫黄、炭素各々について有用な知見を得た。 3、創薬用ライブラリーの構築:SAPdを用いて新しい三次元多様型創薬用ライブラリーを効率良く構築した。更に、これらライブラリー化合物の各種キナーゼ活性を評価した。その結果、特定のキナーゼに活性のある創薬リード化合物の発掘に成功し、SAPdが創薬研究に有用であることが実験的に確認できた。
|