研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
23105509
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (50334339)
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キーワード | 直截変換 / 分子活性化 / 触媒 / シッフ塩基 / 有機合成反応 |
研究概要 |
これまで酢酸パラジウムに代表される遷移金属カルボキシレートを活用したアリル位sp3炭素のC-H結合活性化が実現されているが、より困難なベンジル位sp3炭素のC-H結合活性化に向けて独自の「遷移金属フェノキシドの化学」に特化して研究を進めた。その際、単純な遷移金属フェノキシドではベンジル位C-H結合を活性化するための反応性が十分ではないため、「複核錯体化による歪みエネルギーの蓄積」を行い、歪みの解放をdriving forceとするベンジル位sp3炭素のC-H結合の活性化を目指すこととした。そのために、複核シッフ塩基錯体を系統的に調製し、結晶構造の決定、VCDスペクトル測定(IR領域の高感度、振動CDスペクトル)による動的挙動解明、計算化学による分析を通じて基礎情報を収集した。一方、遷移金属フェノキシドの系統的検証と並行して、ベンジル位sp3炭素のC-H結合の活性化を実現するべく、ルイス酸触媒条件下での各種、極性官能基への付加を検討した。検討の結果、エノン、α、β-不飽和N-アシルピロールへの1、4付加およびイミンへの1、2付加を効率的に促進する触媒系を見いだすことが出来た。また、複核シッフ塩基錯体をさらに発展させた第2族金属/シッフ塩基オリゴマー錯体が非常に活性が高いことを新たに見いだし、イソインドリノンのベンジル位C-H活性化とイミンへの付加が高いエナンチオ選択性にて進行することがわかった。本反応はイソインドリノンを求核剤的に触媒的活性化を行った初めての例である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初はシッフ塩基の系統的検証を進め基礎的データを中心に集める予定であったが、それに加えてベンジル位のC-H活性化を達成し、不斉化に至るまで成功した点で当初の計画を超える成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の想定以上の成果が得られてきているので、初年度の知見を踏まえ、さらに難しい不活性分子の直裁変換に取り組む。
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