研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
23105527
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 昌彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60192704)
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キーワード | 活性炭 / 酸化反応 / 過酸化水素 |
研究概要 |
私たちはこれまでに、「活性炭―酸素系」による酸化反応を報告している。1) この活性炭―酸素系を用いる酸化反応は、分子状酸素が酸化源として用いられており、目的の酸化生成物の他の共生成物は反応量の水のみである。そのため、グリーンケミストリーの観点からも有用であるといえる。2) この反応で活性炭がどのような働きをしているか、活性炭のどの部分が反応の促進に重要なのかを調べた。さらに、実験室スケールレベルでは、酸素を充填したバルーンを用いることで問題はないが、この反応の工業化を考えるに際に、直接酸素を封入する作業は、爆発性の点で問題が残る。今回、「活性炭―酸素系」にとって代わる「活性炭―30%過酸化水素系」を用いた種々の酸化反応を検討した。活性炭の物性と酸化反応における活性の検討:活性炭のどのような活性炭が酸化反応に有効かについては、これまでの検討の結果、大きな比表面積、細孔容積に加え、加熱して一酸化炭素として抜ける官能基の存在が重要であり、そのためにも高温で行う水蒸気賦活ではなく、低温で行う薬品賦活が適していることがわかっている。今回、新たに、窒素系官能基の存在も重要であることがわかった。活性炭―30%過酸化水素系を用いたアルコールの酸化反応およびカルボニル化反応:キシレン溶媒中、100wt%の活性炭と基質を用いて、30% 過酸化水素水を加えて、95 ℃で、酸化反応を行なった。9-フルオレノールの酸化反応にこの系を適応させ、酸化剤の量の検討を行なった。4当量、10当量と30% 過酸化水素水を増やしていくと収率の向上が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
私たちはこれまでに、「活性炭―酸素系」による酸化反応を報告している。1) この活性炭―酸素系を用いる酸化反応は、分子状酸素が酸化源として用いられており、目的の酸化生成物の他の共生成物は反応量の水のみである。そのため、グリーンケミストリーの観点からも有用であるといえる。2) この反応で活性炭がどのような働きをしているか、活性炭のどの部分が反応の促進に重要なのかを調べた。さらに、実験室スケールレベルでは、酸素を充填したバルーンを用いることで問題はないが、この反応の工業化を考えるに際に、直接酸素を封入する作業は、爆発性の点で問題が残る。今回、「活性炭―酸素系」にとって代わる「活性炭―30%過酸化水素系」を用いた種々の酸化反応を検討した。活性炭の物性と酸化反応における活性の検討:活性炭のどのような活性炭が酸化反応に有効かについては、これまでの検討の結果、大きな比表面積、細孔容積に加え、加熱して一酸化炭素として抜ける官能基の存在が重要であり、そのためにも高温で行う水蒸気賦活ではなく、低温で行う薬品賦活が適していることわかっている。今回、新たに、窒素系官能基の存在も重要であることがわかった。活性炭―30%過酸化水素系を用いたアルコールの酸化反応およびカルボニル化反応:キシレン溶媒中、100wt%の活性炭と基質を用いて、30% 過酸化水素水を加えて、95 ℃で、酸化反応を行なった。9-フルオレノールの酸化反応にこの系を適応させ、酸化剤の量の検討を行なった。4当量、10当量と30% 過酸化水素水を増やしていくと収率の向上が見られた。今後この活性炭を用いる酸化反応を実用的な反応にするために、最適な過酸化水素の量の検討を詳細に行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
「活性炭ー酸素系」による酸化反応を実用的なものとするためには、今後、分子状酸素の代わりに「希釈した空気もしくは30%過酸化水素」を酸化剤として用いる必要がある。その実現のためにも、より高活性な酸化用活性炭の創製が引き続き課題として残る。
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