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2011 年度 実績報告書

活性炭中のミクロ孔を特異な反応場として用いる新反応の開発

公募研究

研究領域直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発
研究課題/領域番号 23105527
研究機関神戸大学

研究代表者

林 昌彦  神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60192704)

キーワード活性炭 / 酸化反応 / 過酸化水素
研究概要

私たちはこれまでに、「活性炭―酸素系」による酸化反応を報告している。1) この活性炭―酸素系を用いる酸化反応は、分子状酸素が酸化源として用いられており、目的の酸化生成物の他の共生成物は反応量の水のみである。そのため、グリーンケミストリーの観点からも有用であるといえる。2) この反応で活性炭がどのような働きをしているか、活性炭のどの部分が反応の促進に重要なのかを調べた。さらに、実験室スケールレベルでは、酸素を充填したバルーンを用いることで問題はないが、この反応の工業化を考えるに際に、直接酸素を封入する作業は、爆発性の点で問題が残る。今回、「活性炭―酸素系」にとって代わる「活性炭―30%過酸化水素系」を用いた種々の酸化反応を検討した。活性炭の物性と酸化反応における活性の検討:活性炭のどのような活性炭が酸化反応に有効かについては、これまでの検討の結果、大きな比表面積、細孔容積に加え、加熱して一酸化炭素として抜ける官能基の存在が重要であり、そのためにも高温で行う水蒸気賦活ではなく、低温で行う薬品賦活が適していることがわかっている。今回、新たに、窒素系官能基の存在も重要であることがわかった。活性炭―30%過酸化水素系を用いたアルコールの酸化反応およびカルボニル化反応:キシレン溶媒中、100wt%の活性炭と基質を用いて、30% 過酸化水素水を加えて、95 ℃で、酸化反応を行なった。9-フルオレノールの酸化反応にこの系を適応させ、酸化剤の量の検討を行なった。4当量、10当量と30% 過酸化水素水を増やしていくと収率の向上が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

私たちはこれまでに、「活性炭―酸素系」による酸化反応を報告している。1) この活性炭―酸素系を用いる酸化反応は、分子状酸素が酸化源として用いられており、目的の酸化生成物の他の共生成物は反応量の水のみである。そのため、グリーンケミストリーの観点からも有用であるといえる。2) この反応で活性炭がどのような働きをしているか、活性炭のどの部分が反応の促進に重要なのかを調べた。さらに、実験室スケールレベルでは、酸素を充填したバルーンを用いることで問題はないが、この反応の工業化を考えるに際に、直接酸素を封入する作業は、爆発性の点で問題が残る。今回、「活性炭―酸素系」にとって代わる「活性炭―30%過酸化水素系」を用いた種々の酸化反応を検討した。活性炭の物性と酸化反応における活性の検討:活性炭のどのような活性炭が酸化反応に有効かについては、これまでの検討の結果、大きな比表面積、細孔容積に加え、加熱して一酸化炭素として抜ける官能基の存在が重要であり、そのためにも高温で行う水蒸気賦活ではなく、低温で行う薬品賦活が適していることわかっている。今回、新たに、窒素系官能基の存在も重要であることがわかった。活性炭―30%過酸化水素系を用いたアルコールの酸化反応およびカルボニル化反応:キシレン溶媒中、100wt%の活性炭と基質を用いて、30% 過酸化水素水を加えて、95 ℃で、酸化反応を行なった。9-フルオレノールの酸化反応にこの系を適応させ、酸化剤の量の検討を行なった。4当量、10当量と30% 過酸化水素水を増やしていくと収率の向上が見られた。今後この活性炭を用いる酸化反応を実用的な反応にするために、最適な過酸化水素の量の検討を詳細に行う必要がある。

今後の研究の推進方策

「活性炭ー酸素系」による酸化反応を実用的なものとするためには、今後、分子状酸素の代わりに「希釈した空気もしくは30%過酸化水素」を酸化剤として用いる必要がある。その実現のためにも、より高活性な酸化用活性炭の創製が引き続き課題として残る。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Synthesis of Novel Nucleosides and Stereoselectivity of N-Glycosidation2013

    • 著者名/発表者名
      K. Michigami
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 69 ページ: 595-599

    • DOI

      10.1016/j.tet.2012.11.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of 2-Arylbenzothiazole Derivatives Based on Activated Carbon-O2 Oxidation Followed by Suzuki-Miyaura Coupling2012

    • 著者名/発表者名
      V. Dhayalan
    • 雑誌名

      Synthesis

      巻: 44 ページ: 2209-2216

    • DOI

      10.1055/s-0031-1289772

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Simple Preparation of β-Amino Alcohols Possessing tert-Butyl Group at the Carbon Attached with Hydroxy Group2012

    • 著者名/発表者名
      J. T. Zacharia
    • 雑誌名

      Synthesis

      巻: 44 ページ: 1625-1629

    • DOI

      10.1055/s-0031-1291039

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Enantioselective copper-catalyzed 1,4-addition of dialkylzincs to enones using novel N,N,P-Cu(II)2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Ebisu
    • 雑誌名

      Tetrahedron: Asymmetry

      巻: 23 ページ: 959-964

    • DOI

      1016/j.tetasy.2012.06.010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Oxidation of Secondary Benzylic Alcohols to Ketones and Benzylic Oxygenation of Alkylarenes with2012

    • 著者名/発表者名
      S. Nishida
    • 雑誌名

      Synl;ett

      巻: 2012 ページ: 1683-1685

    • DOI

      10.1055/s-0031-1290367

    • 査読あり
  • [学会発表] 光学活性な2-アリール-6-メチルピラン類の合成(1)2013

    • 著者名/発表者名
      林 昌彦
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2013-03-22 – 2013-03-25
  • [学会発表] 光学活性な2-アリール-6-メチルピラン類の合成(2)2013

    • 著者名/発表者名
      林 昌彦
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2013-03-22 – 2013-03-25
  • [学会発表] 新規なN,N-二座配位子-銅錯体を用いた触媒的アリル位不斉酸化反応2013

    • 著者名/発表者名
      林 昌彦
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2013-03-22 – 2013-03-25
  • [学会発表] Enantioselective Allylic Oxidation Catalyzed by N,N-Bidentate Ligand Cu-Complexes2012

    • 著者名/発表者名
      林 昌彦
    • 学会等名
      12th International Kyoto Conference on New Aspects of
    • 発表場所
      Kyoto
    • 年月日
      20121112-20121116
  • [学会発表] Asymmetric Kharash-Sosnovosky Reaction of Cyclic Olefins2012

    • 著者名/発表者名
      林 昌彦
    • 学会等名
      13th Tetrahedron Symposium-Asia Edition
    • 発表場所
      Taipei
    • 年月日
      2012-11-27 – 2012-11-30

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公開日: 2015-05-28  

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