研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
23105544
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
椎名 勇 東京理科大学, 理学部, 教授 (40246690)
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キーワード | 有機化学 / 有機合成化学 / ビニリデンアセタート / アルドール反応 / マイケル反応 / ディールス・アルダー反応 |
研究概要 |
本研究では高い反応性を有すると期待されるビニリデンアセタート類に着目しこれを特異な分子触媒活性種として利用した様々な新規合成反応の開発を目指している。ビニリデンアセタート類を合成化学的に活用した報告例は少ないが、当研究室ではこれまでエノールエーテルの活性化を利用した様々な有機合成手法を開発しているので、この知見を生かし有効な炭素骨格形成反応や立体選択的手法が開発できるものと予想している。本年度はビニリデンアセタートをアルコキシメタル等の金属触媒により活性化させ、これをケテン等価体として用いるアルドール反応の確立を試みたところ、触媒としてジアルキルモノアルコキシアルミニウムが有効に作用することを見出した。反応はテトラヒドロフラン中で速やかに進行し、対応するベータヒドロキシカルボニル化合物が高収率で得られることが分かった。さらに、環状構造を有するエノール型ラクトンを求核剤として用い、上記と同様の反応を試みた場合には、付加反応の進行と同時に生成物の分子内トランスアシル化が併発し、対応するベータアセチルガンマラクトンあるいはガンマアセチルデルタラクトンが高収率で得られることも分かった。これらはいずれもトランスの立体配置を有するラクトンを優先的に与え、この付加-環化連続反応が高立体選択的に進行する傾向を示した。 引き続き、ビニリデンアセタートにさらにもう一つのビニリデン基を導入したジエンアセタートをアルファ,ベータ不飽和ケトン類にマイケル付加させたところ、反応で一旦生じるエノラート型中間体からの連続的なアルドール反応が進行し、相当するディールス・アルダー型環化付加体を与えることも明らかとなった。現在、これらの反応を活用して有効な薬理活性をもつ有機化合物を生産する方法の実現を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応探索はほぼ計画通りに進んでおり、初年度はビニリテンアセタート類を用いる合成手法を見出すことができた。次年度はさらに展開を図る。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に目的であった炭素骨格形成反応の確立を実現できたので次年度はこれを用いた薬理活性化合物の合成を試みる。また、ビニリデンアセタートのプロトン化により不斉炭素を発生させることができるので、この分子の光学活性体を与える不斉合成反応の開発も試みたいと考えている。
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