標準原子核密度以下の原子核物質の非一様構造を、相対論的平均場模型を用いた数値計算で調べた。 構造を仮定しない大きなセルでの計算を、低密度領域に対して実行したところ、従来の研究では球形の原子核が体心立方(bcc)格子を作って整列するものとされてきたが、我々の計算では球形核から円筒状の棒に移り変わる比較的高い密度領域で、面心立方(fcc)格子を作る様子が陽子含有率を固定した場合に見られた。bcc格子はクーロンエネルギーを最低にする構造であるため、球形核の作る結晶格子はbccとなると考えられてきたのである。比較的高い密度でfccとなる原因を調べたところ、bcc格子を組む場合とfccを組む場合では球形核の大きさに違いが現れ、核の結合エネルギーまで含めたエネルギー比較においてfccが有利となっていたことが明らかになった。 次に中性子星表面のベータ平衡な物質について調べたところ、以前の我々の構造を仮定した計算では球形核以外は現れなかったのに対し、球形核と棒状核の構造が現れること、球形核の作る格子は低密度側でbccだが棒状核との境界領域でfccが現れることが分かった。原因はやはり核の大きさに違いが出ることと、陽子含有率にも違いが出ることで系のエネルギーでfccが有利となっていた。 また、計算で得られた構造にゆがんだ周期的境界条件を課した上でエネルギーの変化を計算し、それを元に物質の剪断弾性率を求める方法を考案した。中性子星表面の剪断振動や強度を計算することでグリッチや星震の研究に繋げたい。
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