研究領域 | ソフトインターフェースの分子科学 |
研究課題/領域番号 |
23106702
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
和田 健彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20220957)
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キーワード | ソフトインターフェース / バイオインターフェイス / キラルインタフェース / タンパク質 / 超分子不斉光反応 / 2-アントラセンカルボン酸 / 血清アルブミン / 光二量化 |
研究概要 |
本年度は、多様な基質への適用性獲得と本方法論の一般化を目指し、ファージディスプレイ法を活用した積極的生体高分子系"キラルソフトインターフェース"構築法について検討した。 坑体は、基質に対する高い適応性と、選択性を兼ね備えた優れた生体高分子として広く知られており、この坑体を熱反応における触媒として活用する「触媒坑体」は、優れた特性を有することが報告され、熱反応制御の一つの有力な方法論として確立されている。しかし、意外にも光反応に適用された例はなく未開拓領域である。我々は触媒坑体の有するテーラーメイドキラルインターフェース(CSI)に注目し、超分子不斉光反応場としての活用を検討してきた。しかし、マウスを用いた通常の実験系では目的坑体を得ることは非常に困難であった。本領域公募研究として採択頂いたのを機に、より簡便に目的坑体の取得が可能であるファージディスプレイ法を用いた坑体取得に関する共同研究を開始した。その結果、初期的なデーターではあるが、キラルなAC光二量体2を認識する6種類の坑体取得に成功した。 具体的には、4種類のAC二量体を各々単離精製し、各二量体のカルボン酸部位をPEGリンカーを介しビオチン化した。このビオチン化AC二量体と、10^<10>程度の多様性を有する坑体を提示したファージライブラリーを混合し、アビジン化磁気ビーズを用いて標的光二量体に結合する坑体提示ファージを選択取得を検討した。得られた坑体提示ファージに対し、標的以外のAC光二量体添加よるネガティブ選択により標的選択性を確認し大腸菌感染・増殖により、目的坑体提示ファージを増殖し、より選択性の高い坑体を取得した。得られた坑体の遺伝子配列解析に基づき、アミノ酸同定、引き続く遺伝子工学手法による坑体合成により、新規CSIの取得法を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
人工坑体取得に成功し、これを用いた基底状態ならびに励起状態相互作用の解明に成功した。 さらに初期的な光反応の検討結果も報告しているため。
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今後の研究の推進方策 |
本方法論確立を目指し、より選択性の高い人工坑体キラルナノインターフェイスの取得を検討すると共に、基底状態ならびに励起状態相互作用の解明、そして光反応のメカニズムについて検討していく。
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