研究領域 | ソフトインターフェースの分子科学 |
研究課題/領域番号 |
23106704
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
野々村 美宗 山形大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50451662)
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キーワード | 小腸 / 脂質 / 吸収 / 濡れ / フラクタル |
研究概要 |
本研究では、小腸壁を液体が濡れ広がる速度を劇的に速めたり遅くしたりする「濡れコントロール剤」を探索、栄養吸収の効率をコントロールする新たなヘルスケアテクノロジーの礎を築く。小腸表面の超凸凹構造を模した「モデル小腸壁」上を水やモデル小腸液が濡れ広がる速度を高速カメラ撮影によって定量的に評価、コロイド粒子や両親媒性分子の添加が濡れのダイナミクスに及ぼす影響を明らかにする。またこの剤を小腸に送達するカプセルの開発にも取り組む。 1.水の濡れダイナミクスを制御する濡れコントロール剤の探索:さまざまな添加剤を加えた水がモデル小腸壁上を濡れ広がる速度を評価し、濡れコントロール剤を探索した。その結果、アルコールの添加によって寒天ゲル上を液体が濡れ広がる速度が劇的に速くなること、またこの現象はアルコールの揮発によって起こるマランゴニー対流が原因であることを明らかにした。 2.濡れコントロール剤を小腸に送達するカプセルの開発:脂肪酸からなるカプセル中に濡れコントロール剤を封入する技術を開発した。カプセル表面を被覆する脂肪酸結晶の大きさを制御することにより、力学的強度と撥水性を高めることができただけでなく、pH変化に応答して崩壊する刺激応答性カプセルとすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水の濡れダイナミクスを速める技術を見出しただけでなく、カプセルの調製法についても明らかにし、原著論文、学会発表などで報告している。
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今後の研究の推進方策 |
1.モデル小腸壁状における濡れダイナミクスの制御:小腸壁の状態をよりリアルに再現するために、モデル小腸液の濡れダイナミクスの制御法を探索する。ミセルや液晶系の濡れダイナミクスを制御する技術を確立する。また、糖類やアミノ酸などの食品に含まれている物質の添加が濡れダイナミクスに及ぼす影響を系統的に解析する。 2.小腸表面における濡れダイナミクスの解析:液滴が固体表面を濡れ広がる時の自由エネルギー変化を見積もる基本モデルを基に濡れの抑制/促進現象を理解し、濡れコントロール剤探索の指針とする。 3.濡れコントロール剤を小腸に送達するカプセルの開発:脂肪酸からなるカプセル中に濡れコントロール剤を封入する技術を開発する。
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