研究領域 | ソフトインターフェースの分子科学 |
研究課題/領域番号 |
23106724
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
青木 寛 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00392580)
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キーワード | 遺伝子 / 核酸 / バイオセンサ / DNAチップ / 電気化学 / 遺伝子プローブ / ペプチド核酸 / 環境診断技術 |
研究概要 |
本研究では、安価で省スペース化が容易な電気化学的手法に基づき、煩雑なサンプル処理が不要な、網羅的遺伝子解析法の基盤技術の開発を目指す。具体的には、ターゲットとのハイブリッド形成に伴い信号が増加する検出系("signal-on"型)を採用し、ターゲット標識化不要およびセンサ単独で検出可能という簡便性を満たしつつ、より高感度な遺伝子検出法へと発展させることを目指す。その際、電気化学信号発生に酸化還元酵素を用いることで、センサの高感度化を図る。 本年度は、酸化還元酵素においては、活性中心となる金属錯化合物とこれに対するアプタマーとで人工的に酵素を構成(アプタザイム)することを試みた。具体的には、鉄ポルフィリンの一種であるヘミンを認識するアプタマー部位および阻害因子としてイミダゾール基を取り付けた新規プローブの合成を検討した。本目標のため、電気化学活性部位として人工酵素であるヘミン、抑制部位としてイミダゾール基を有するヒスタミンとを両末端に有する遺伝子プローブをデザインした。ヘミンが遺伝子プローブ末端部位とアプタマーを形成・ヒスタミンがクロスリンカーにより結合することで、それぞれの部位を固定化してプローブを合成し、電気化学的な予備評価を行った。これにより、DNA合成機で合成したプローブ前駆体に簡単な反応処理を施すことで、遺伝子プローブが準備できることを示した。また、次年度の遺伝子センサのデバイス化に向けた検討として、光リソグラフィにより作製されたマイクロ電極アレイに基づく遺伝子センサアレイにおいて、センサ応答の高精度化条件を見出した。以上、本年度遺伝子プローブのデザイン・合成・電気化学的評価を行い、人工酵素に基づく簡便・迅速な高性能遺伝子プローブの開発を推進したことで、来年度実施予定である遺伝子プローブに基づくセンサデバイス化へと繋げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はプローブ構造の最適化を中心に取り組むという計画を掲げていた。それに対し、金電極表面への固定部位としてのチオリン酸部位、ヘミンを保持するアプタマー部位、およびプローブ末端のイミダゾール部位に関して、それぞれ挙動を検討することで、プローブ構造をデザインすることができた。また併せて、翌年度実施予定のデバイス化に向け、マルチ電極基板の作製も進めることができた。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画通り、本年度得られた要素技術を元に、プローブ構造の確立とこれを用いた電気化学的遺伝子検出へと進めて行きたい。
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