研究領域 | ソフトインターフェースの分子科学 |
研究課題/領域番号 |
23106725
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤田 聡史 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (00392655)
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キーワード | マイクロアレイ / 表面界面物性 / マイクロナノデバイス / ナノバイオ |
研究概要 |
本研究課題では、「固相リバーストランスフェクション(固相界面から細胞への遺伝子導入;Reverse Transfection:RTF)」のメカニズムを明らかにし、これに基づいた「高性能ソフト界面」を作製し、固相から様々な細胞株への遺伝子導入を可能にする高機能化セルチップを開発する事を目的とする。現状では、(i)様々な細胞種へのセルチップの適用、(ii)遺伝子導入効率の改善、(iii)アレイ状のスポット間の遺伝子混合の防止、(iv)徐放性の制御、(v)アレイ化されたスポット上の細胞運動の制御、が不十分であり、基板ソフト界面の化合物の制御による、本チップの高機能化が求められていた。 平成23年度の研究成果において、(1)ポリアミンデンドロンの固相化が遺伝子導入効率の上昇に有効であること、(2)フィブロネクチンやタイプIコラーゲンなどのECMの固相濃度が、遺伝子の徐放性のコントロールに重要であり、細胞への遺伝子導入効率や局所的な遺伝子導入に影響する事、(3)細胞運動をコントロールする上で、ポリエチレングリコール(PEG)を用いた基板界面の親水性コーティングとフィブロネクチン又はコラーゲンタイプIによるアレイスポットの形成が非常に有効である事を見出した。 最適なECM固相条件でアレイを構築することにより、スポット径が100μm以下の細胞接着及び遺伝子導入領域を作製し、スポット当たりの細胞数が数個になるような「世界最高密度のTCM基板」を開発に成功した。本成果の基盤となる技術は、現在研究成果を学術誌に投稿中である。本成果により、セルアレイデバイスを用いた細胞への遺伝子導入技術に対して、有効な界面材料を提供し、細胞を用いた生命現象の大規模解析を加速するためのデバイス開発や普及を促進できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度の目標を一部前倒しで達成した一方で、今年度の目標であるリバーストランスフェクションにおける細胞への遺伝子取り込みメカニズムの解明が不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に達成すべき「固相リバーストランスフェクション(RTF)における細胞への遺伝子取り込みメカニズムの解明」を進める。この結果に基づき、RTFの効率をより高めたソフト界面を作成し、様々な細胞への遺伝子導入が可能な高機能セルチップを開発する。
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