研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
23107506
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関野 徹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (20226658)
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キーワード | 自己組織化 / ナノ材料 / 表面・界面物性 / 生体材料 / 低次元ナノ構造 / 融合機能 / 室温溶液プロセス / 構造化機構 |
研究概要 |
高次に構造設計・制御された酸化物低次元ナノ構造体を自己組織化的に多様な基材表面へ形成させ、表面のナノアーキテクチャーを簡便且つ高精度に構築する技術およびその構造体を創出すると共に、低次元ナノ構造と材料物性とを共生的に融合し、生体適合性など多彩な表面機能を具現化させることを目的とした研究を行い、以下の知見を得た。 1.チタニウムなどの金属基板表面に、120℃以下の室温までの範囲における高濃度アルカリ溶液処理プロセスで、ナノシートやナノネットワーク構造を持つ低次元ナノ構造体酸化物を形成することに成功した。形成した構造は非晶質ナノ構造であること、ネットワーク状のポーラスナノ構造であることを見いだした。 2.本プロセスの制御因子である温度、濃度、処理時間およびアルカリ種とこれらにより得られる表面ナノ構造との相関について精査し、ナノレベルで異なるサイズを持つ低次元ナノネットワーク構造を形成することが可能であることを見いだした。 3.プロセス過程における構造・化学種の解析を行い、ナノ構造表面が階層的構造を持つこと、およびこれら構造形成メカニズムの推定を行った。 4.制御因子として温度を用いる場合、低次元ナノ構造としてナノチューブやナノシート、ナノネット構造が得られ、これら構造に起因して表面の物理的特性(吸着特性、比表面積)が変化することを見いだし、構造形成プロセス・メカニズムとの相関を考察した。 5.ナノチューブ構造表面の場合、無機イオン吸着能に優れることを見いだすと共に、細胞培養の結果、生体適合性表面であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究開始当初は東日本大震災による実験インフラの破損により実験研究推進に支障をきたし、進展が遅れ気味であった。夏以降には順次機器の修復・実験環境の回復を得たため、その後はほぼ順調に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
低次元ナノ構造化プロセス条件を種々検討し、プロセス因子によるナノ構造化への影響について基礎的知見を得るとともに、当所予測した結果とは異なる知見を得るなどの成果を得ている。これらの成果を踏まえた上で、ターゲットとする表面機能(生体適合性、環境調和性)を発現させるのに最適な低次元ナノ構造を具現化するための種法の最適化を行うと共に、これらの指針に基づいた高次機能の検証ならびに機構解明の研究を行う。
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