研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
23107507
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西原 洋知 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80400430)
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キーワード | 陽極酸化アルミナ / グラフェン / メソポーラス / 高表面積 / 透明導電膜 |
研究概要 |
高効率な新規有機薄膜太陽電池の開発を目指し、H23年度は規則性ナノ細孔をもつ透明導電膜の調製を行った。まず、Al板を酸性電解液中で陽極酸化することで、Al陽極酸化皮膜(AAO)を調製した。AAOは多孔性皮膜であり、膜面に対して垂直に配向したシリンダー状のナノ細孔を有する。細孔長は膜面にほぼ等しく、0.1~100μm程度の範囲で自在に制御できる。また、細孔径も15~200nm程度の範囲で制御可能である。AAOの主成分は酸化アルミニウムであるため、透明であるが導電性は無い。そこで、化学蒸着法(CVD)によってAAOの細孔内部を含む全表面を厚さ2nm程度の炭素ナノ薄膜で均一に被覆した。調製した炭素ナノ被覆AAOは規則性ナノ細孔をもち、かつ透明性と導電性を有していることを確認した。このように、金属基板上に多孔性透明導電膜(炭素ナノ被覆AAO)を堆積させたタイプは片側が光を透過するので太陽電池へ利用できるが、多孔性透明導電膜を透明基板上に作製できれば、デバイスとして透明な太陽電池を設計できる。そこで、石英基板上にAl層をスパッタし、これをAAOとした後にCVDによって炭素ナノ被覆することで、基板も光を透過する多孔性電極の調製も実施した。H24年度は、導電率と透過率の更なる向上を検討する。我々が過去に開発したヘテロ原子ドープCVDにより、NやBを炭素ナノ薄膜へドープしその影響を調べる。さらに、垂直配向ナノ細孔内部へ有機半導体を導入し、有機薄膜太陽電池を作製し、その性能評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度までに多孔性無機透明導電膜作製技術を確立した。また、太陽電池の評価システムおよび評価法もセットアップが完了している。あとは、多孔性無機透明導電膜にp型およびn型有機半導体を導入すれば、太陽電池を構築でき、かつその評価を実施することができる。H24年度の早い段階で評価を実施し、その結果を材料合成にフィードバックし、更ならる性能の向上に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度までに多孔性無機透明導電膜の構造最適化は完了しているので、H24年度にはここにn型およびp型有機半導体を導入し、太陽電池を構築する。まず、もっとも単純なセルとして、バルクヘテロタイプのpn混合層を単に充填し、透明導電膜が多孔性であることの利点を明らかにする。さらにその後、p-nナノ積層タイプの有機薄膜太陽電池を作製し、高性能化を図る。
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