研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
23107509
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 宗太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (40401129)
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キーワード | ナノ材料 / 分子認識 / 分析科学 / 超分子化学 |
研究概要 |
本研究では、自己組織化を使って構築した多成分金属錯体を基軸に、その階層的クラスター化を通じた磁場配向物性の制御を達成し、NMRによるRDC立体構造解析の新手法を開発することを目的とする。分子設計に立脚した磁場配向性制御の構想は、国内外の研究に照らして新しい着眼点である。さらにこの金属錯体は、有機小分子から生体関連分子までNMRで観測できる様々な分子との相互作用を化学修飾を通じて発現できると考えられ、この融合化によって磁場配向性を配向性クラスターから解析対象分子に伝搬して誘起すれば、新規分析手法の開発につながると期待される。本年度、種々の水溶性官能基を表面に化学修飾した錯体分子をライブラリー合成し、濃度に応じたクラスター形成の様子を観測した。その結果、12個の水酸基を有する親水性官能基を集積した場合に、特に水溶性の向上を達成することができ、濃度依存による1次元クラスター化挙動を明らかにできた。さらに、非常に高濃度な条件ではこれらの錯体クラスターがさらに液晶化することも明らかにした。このようにして調製したクラスターは磁場強度に依存して磁場配向することがわかり、NMR解析への応用検討を開始した。さらに、本新学術領域における融合的展開として、このような有機化学に基づいて分子設計できる錯体分子と、無機物質合成とを融合する検討を進めた。その結果、巨大な中空錯体をテンプレートとして無機合成反応を行うことで、サイズや形状が整った酸化チタンナノ粒子を錯体内で効率的に合成できることを見いだした。さらに、錯体表面でシリカナノ粒子を合成し、シリカ粒子内に封入した多核錯体の金属イオンを原料とする金属クラスタ合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画どおりに、錯体のクラスター化を行い、磁場配向性クラスターの合成を達成した。さらに、計画以上の進展として、新学術領域における融合的研究展開として、有機-錯体-無機化学を融合した、新しい無機ナノ材料合成へと展開できたため。
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今後の研究の推進方策 |
合成を達成した磁場配向性クラスターを用いたNMR解析への応用を精力的にすすめ、また、錯体を基軸にした、従来法では合成困難な無機ナノ材料合成への展開を図る。
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