研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
23107515
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩太郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70377810)
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キーワード | 高分子合成 / 構造・機能材料 / 高分子構造・物性 / 精密重合 / 有機金属錯体 |
研究概要 |
本研究では、特殊構造ポリマーのセグメント中、周期的に安定な金属錯体などを導入した融合マテリアルを創出すること目的として、リビングラジカル重合や配列制御重合などの精密重合を用いて、高分子鎖中に配列周期的に金属の導入された高分子の合成やこれまでにない周期配列構造を有する高分子の合成などの検討を行っている。 1.リビングラジカル重合による金属含有特殊構造ポリマーの開発 本研究では、まず、容易に化学変換が可能なエポキシ基を有するメタクリル酸グリシジル(GMA)に着目し、GMAをモノマーとしたリビングラジカル重合や配列制御ラジカル重合後に金属の有機多座配位子に変換することで、新規な金属錯体含有特殊構造ポリマーの合成を検討した。リビングラジカル重合によるブロック共重合体などの構造が明確に制御された特殊構造ポリマーの合成と有機配位子への高効率変換反応を組み合わせることで、高分子鎖中のセグメント特異的、もしくは末端など位置特異的に金属原子が導入された材料設計が可能となった。 2.融合マテリアル創成に向けた配列特殊構造ポリマー合成法の開発 融合マテリアルの設計に向けた高分子鎖への配位子導入反応と最近我々が開発した配列制御ラジカル重合と組み合わせることで、高分子のモノマー配列中や周期配列中の任意のユニットへの金属原子の導入も可能となると考えられた。今年度は、より高次の周期配列高分子を与えるAA-BB型モノマーのラジカル逐次重合を開発し、さらに連鎖/逐次同時ラジカル重合へと展開することで、周期的官能基を導入したポリマーの合成を検討した。とくに、温度応答性ポリマーを与えるN-イソプロピルアクリルアミドのリビングラジカル重合を行い、ポリマー鎖間で逐次重合させることで、周期的官能化に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目的であったリビングラジカル重合によるブロック共重合体などの構造が明確に制御された特殊構造ポリマーの合成と有機配位子への高効率変換反応を組み合わせることで、高分子鎖中のセグメント特異的、もしくは末端など位置特異的に金属原子が導入された材料設計が可能となった。 また、エポキシ基を含有するAA型二官能性化合物をリビングラジカル重合の開始剤として用い、温度応答性ポリマーを与えるN-イソプロピルアクリルアミドのリビングラジカル重合を行い、ポリマー鎖間で逐次重合させることで、周期的官能化に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、以下の点について検討を行う。 1.リビングラジカル重合による金属含有特殊構造ポリマーの開発 Titanatraneと呼ばれる対称性の高いチタン錯体へと変換することで、水や大気中でも安定性の高い新規金属錯体含有ポリマーの合成を検討する。また、逐次ラジカル重合とリビングラジカル重合を組み合わせることで、周期的に官能基が導入されたポリマーを設計しする。とくに、エポキシ基などを含有するAA型二官能性化合物をリビングラジカル重合の開始剤として用い、温度応答性ポリマーを与えるN-イソプロピルアクリルアミドのリビングラジカル重合を行い、ポリマー鎖間で逐次重合させることで、周期的官能化を行う。生成するポリマーについて、金属だけではなく導入した種々の周期的機能性基が物性に与える影響についても考察する。さらに、これらのポリマーの応用展開について、共同研究により推進する。 2.融合マテリアル創成に向けた配列特殊構造ポリマー合成法の開発 高分子鎖への配位子導入反応と配列制御ラジカル重合と組み合わせることで、高分子のモノマー配列中や周期配列中の任意のユニットへの金属原子の導入についても検討する。とくに、配列構造が組み込まれたオリゴマーの設計を行い、遷移金属錯体を用いたラジカル重付加により、目的の配列構造をもつポリマーへとビルドアップすることより、付加重合では得られない定序配列型の金属原子含有高分子の合成も検討する。
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