研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
23107519
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾崎 雅則 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50204186)
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キーワード | 液晶 / コレステリックブルー相 / 微粒子分散液晶 / 偏光無依存屈折率変調 / Kerr効果 |
研究概要 |
液晶にキラリティを増していくとナノスケールの三次元的な螺旋周期構造を形成するコレステリックブルー相(BP)が発現する。本研究では有機分子の自己組織化ナノネットワークと無機金属あるいは半導体微粒子などとの複合化による新しいフォトニクス応用をしてきた。先ず、BP液晶の実用化の最大の問題であるBP発現温度範囲の拡大を試みた。手法としては、我々が提案した金属ナノ粒子分散法、すなわち、金、銀、パラジウムなどの金属ナノ粒子をBP液晶に添加することでBPの発現温度範囲を拡大する方法を用い、本年度は、金ナノ粒子の濃度を変化させた場合のBPの発現温度範囲について検討を行った。その結果、BPの発現温度範囲は金ナノ粒子の濃度の増大に伴って拡大することを確認した。また、比較的粒子濃度が低領域においては、BP IIの発現温度範囲がBP Iに比べてより大きく拡大されているのに対し、ある程度以上粒子を添加するとBP IIが消失しBP Iのみの発現温度範囲が拡大することが明らかとなった。BP IIは本来BP Iに比べて不安定であることを考慮すると、金ナノ粒子の濃度が低い場合は安定化効果を顕著に受けるが、濃度が高くなると再びBPIIが不安定になり消失したものだと考えられる。上記安定化手法を用いて、これまで提案したBP液晶の光学的等方性を利用した偏光無依存屈折率変調素子の特性改善を試みた。その結果、微粒子安定化により駆動特性の改善が確認され、また、さらなる動作特性の改善のために、駆動周波数により誘電異方性が反転する二周波駆動液晶を用いて屈折率変調範囲の拡大にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コレステリックブルー相液晶の応用上最も重要な課題である発現温度範囲の拡大を、有機無機融合ネットワークにより達成しており、また、数値シミュレーションによって金属ナノ粒子との融合ネットワークにおける光学特性の解析にも着手できており、目的の達成に向けて順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
数値シミュレーションによる解析を進め、発現が期待できる光学現象の検討、また、そのための材料設計を行う。さらに、金属微粒子分散条件の詳細な検討を行い、上記シミュレーション結果を実験に展開できる体制を確立する。
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