研究概要 |
金属・半導体ナノ粒子はナノサイズ特有の物性を示す。さらに、ナノ物質-ソフトマテリアルの融合により材料特性の向上のみならず、各々の材料単体では得られない融合マテリアル特有の光・電子・磁気特性の発現が期待される。一方、イオン液体は媒体自体に組織構造を内在する自己組織性媒体として注目されつつあるが、規制された次元性や階層構造を有する高分子や液晶などと比べて、イオン液体の組織構造の秩序性は低く曖昧であり、流動的でもある。本研究では、イオン液体とナノ粒子の融合による周期性の向上と秩序性の獲得を目指す。本年度は、金ナノ粒子との融合を中心に検討を行った。 表面を2-ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩で被覆した種々の金属、半導体ナノ結晶を合成し、ビストリフルオロメタンスルホニルアミド(TFSA)を有する疎水性のイオン液体との複合化を行ったところ、すべて(CdTe,CdSe,PbS,PbS,Au,およびAg)のナノ粒子において均一分散が確認され、イオン液体-ナノ粒子複合体形成の方法論の一般性が実証された。特に、表面配位子のカウンターアニオンをTFSAとした金ナノ粒子は、イオン液体と任意の割合でマクロには均一に高濃度で分散することを見出した。 また、カウンターアニオンをTFSAとした配位子はイオン液体としても振る舞い、表面をイオン液体で被覆された金ナノ粒子は、イオン液体特有の凝集性により、ナノ粒子による超格子構造や高分子のスピノーダル様の構造を与えた。すなわち、融合マテリアル中でイオン性部位および金属部位がそれぞれ相分離した超構造を形成している。
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