研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
23107528
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
長谷川 美貴 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70306497)
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キーワード | 希土類錯体 / 発光 / 分子膜 |
研究概要 |
実験目的:本研究では、強発光性ユウロピウム錯体の自己会合型分子膜(SAM膜)による高輝度な偏光発光体の開発を目的としている。 実験計画:湿式で分子性の膜を作製するため、溶液中でも錯体が解離せずに発光を保持できるジャイロ型ユウロピウム錯体を用いている。この錯体は、2個のビピリジンをエチレンジアミンで架橋した配位子がユウロピウムに6座で配位している。更に、この錯体の軸位には硝酸イオンが結合している。この硝酸イオンは、他のイオン性分子と置換することが分かっている。膜を作製するために、テレフタル酸をリンカーとし、ジャイロ型ユウロピウム錯体とテレフタレートのSAM膜の作製を行った。また同じ成分の粉末の合成にも成功した。膜の評価は、表面の接触角やX線光電子スペクトル測定により行った。薄膜のX線回折パターンから、ジャイロ型ユウロピウム錯体とテレフタレートは基板上でバルクと異なる異方性を有する累積状況を確認した。この膜を紫外線励起すると、濃度の高い場合に目視できるほどの赤色発光がみられる。電子吸収および発光スペクトルの測定を試みたところ、特に発光量子収率および寿命測定から、十分に目視できるサンプルは、粉末状態と同様のバルクな状態であり、溶液の濃度が0.2および0.1mMの場合に発光寿命の成分が二種あることが明らかになった。このことは、SAM形成による薄膜化の影響が生じていることを示唆しており、今年度は、この発光帯の偏光性について議論する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた膜形成における構成要素となる有機分子および発光性希土類錯体の複合体が紛体として得られ、膜化とバルク状態の発光の比較が可能となった。これにより、膜構造と膜に特異的な発光現象との相関を比較・考察するための基盤的知見を獲得できる。さらに、新学術領域特有の共同研究が始まり、これまでに接点のなかった分野の研究者との議論を介し、新たな視点で本研究の発展の可能性を見出している。そのため、本研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、目的とするジャイロ型ユウロピウム錯体とテレフタレートとの自己組織化分子膜の精製法および同組成の粉末(バルク状態)の合成法を確立することができた。また、これらの状態間で発光の挙動に変化が見出されていることを踏まえ、薄膜化による偏光発光の評価とその構造との相関を明らかにすることを目的とする。特に、薄膜の構造解析は放射光XRDを用いて行う。偏光発光スペクトルの起源を解釈するためには、エネルギードナーであるジャイロ型ユウロピウム錯体の配位子部位の配置を知ることが必須であり、導波路分光測定等を導入し、ユウロピウムの偏光発光を促進させる。
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