研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
23107530
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
酒井 秀樹 東京理科大学, 理工学部・工業化学科, 准教授 (80277285)
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キーワード | イオン液体 / 酸化チタン / 非イオン界面活性剤 / ナノシート / ゾルゲル反応 / 融合マテリアル / ナノワイヤー / 光触媒 |
研究概要 |
イオン液体は、不揮発性・高いイオン伝導度など従来の液体には見られない優れた性質を持つことから、反応溶媒や電解質材料としての応用が試みられている。特に反応溶媒としては、イオン液体中に溶解した水を用いて加水分解・重縮合反応を行うことにより、高光触媒活性を有するアナターゼ型酸化チタンが低温で合成できることが報告され、注目を集めている。一方、我々は、非イオン界面活性剤であるフィトステロールエトキシレートがイオン液体中で水中と同様に自己集合してナノサイズの分子集合体が形成することを報告している。これらのリオトロピック液晶を微小反応場とすることにより、ナノサイズの形態が付与され、かつ結晶性に優れる「界面活性剤/酸化チタン融合マテリアル」の創製が可能になると考えられる。そこで本研究では、非イオン界面活性剤のイオン液体中での相挙動を検討するとともに、得られたリオトロピック液晶を鋳型として、光触媒に応用可能なナノ形態制御酸化チタンを創製することを目的とした。 非イオン界面活性剤であるフィトステロールエトキシレートがイオン液体BmimPF6中でラメラ相、キュービック相など種々のリオトロピック液晶を形成することを明らかにした。また、BminPF6中に溶解させた水を用いてチタンアルコキシドの加水分解・重縮合反応を行ったところ、界面活性剤無添加系ではシート状酸化チタン、フィトステロールエトキシレート添加系ではワイヤー状の酸化チタンを調製できることを見いだした。さらに、反応条件の最適化により、シート状酸化チタンをアナターゼ結晶化することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非イオン界面活性剤のイオン液体中における相挙動、特にリオトロピック液晶の形成について明らかにすることができたため。また、イオン液体中での反応により、シート状酸化チタン、ワイヤー状酸化チタンの作り分けに成功したため。また、当初アモルファスであった、シート状酸化チタンについて、イオン液体種の検討、反応条件の検討により、光触媒としての応用が可能なアナターゼ結晶性を付与することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ワイヤー状酸化チタンについても調製条件の最適化、ならびに壁膜の結晶化による光触媒材料としての評価を検討する予定である。また、シート状酸化チタン(ワイヤー状酸化チタン)と有機材料(色素、ナノ粒子など)からなる「融合マテリアル」の作成を行い、当新学術領域研究の発展に貢献できる成果を出していきたい。そのためにも、領域メンバーとの共同研究なども積極的に行っていきたい。
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