1.光硬化性樹脂ポリ桂皮酸ビニルを球殻部位に有する構造色バルーンの溶媒及び光応答性 構造色バルーン、すなわち直径数百μm、膜厚数百nmのマイクロカプセルは、薄膜干渉によって様々な色を発現する。この構造色バルーンは膨張、収縮に伴い膜厚と色調の変化が起こる。カプセルの球殻部位にポリ桂皮酸ビニルを用いた物は紫外光照射によって光硬化性を示すため、構造色の溶媒応答性が光制御できる。まずバルーンの周辺の溶媒をアセトン/水混合溶媒に交換すると、サイズ変化とそれに伴う色調変化が確認出来た。これに紫外光を照射したところ、変形前、変形中のいずれにおいてもサイズ変化速度を制御出来ることを確認した。特に変形中における紫外光照射では任意のサイズと色調に固定化することが可能であった。このような応答性の変化は、三次元ネットワークの形成による溶媒含有・透過速度の減少および機械的耐久性の向上に由来する変形速度の低下によると推測された。 2.液晶の欠陥線を利用した有機ナノ粒子の二次元配列 液晶中では、配向の異なる領域の境界に欠陥が発生し、その周囲には配向ひずみ由来のポテンシャル極大が形成される。この欠陥領域に球状の多分岐型高分子を選択的濃縮させる方法を確立させた。無配向状態(等方相)の液晶に対しては、高分子は均一に溶解した。温度を下げ配向秩序の高いネマチック相にしたところ、液晶と高分子の相分離が起こり、同時に欠陥線部分への高分子の濃縮が確認できた。特にコレステリック相では、液晶配向制御との組み合わせによって二次元周期構造を大スケールに形成させることに成功した。 またこの多分岐型高分子と同程度の粒径を有するAuナノ粒子を液晶被覆して導入したところ、同様に欠陥線への濃縮が確認された。これは無機/金属ナノ粒子を用いた大スケールの二次元周期構造が形成可能であることを意味しており、光学挙動などの変化が期待される。
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