公募研究
シトクロムc(cyt c)はミトコンドリアにおいて電子伝達を行うとともに、アポトーシス誘導の際、ミトコンドリアから放出される。研究代表者らは2010年、cyt cがC末端領域のαへリックスをドメインスワッピングすることにより多量体を連続的に形成しポリマー化することを明らかにした。平成24年度は、酸化型ウマcyt c二量体の紫外可視吸収スペクトルのソーレー帯およびQ帯がシアン化物イオン添加により短波長シフトし、cyt c二量体がシアン化物イオンと比較的強く結合することを見出した。シアン化物イオン結合型cyt c二量体のFe-CN伸縮振動数より、cyt c二量体へのシアン化物イオンの結合が他のヘムタンパク質より弱いことが判明した。シアン化物イオンの結合により、cyt c二量体の二次構造は大きく変化しないが、二量体の単量体への解離速度が増加し、解離温度が減少することも明らかとなった。好熱性水素細菌由来シトクロムc552(cyt c552)の酸化型にエタノールを添加すると多量体が得られた。Cyt c552溶液にエタノールを50℃で加えると、メチオニンがヘム鉄から一部解離することが分かった。Cyt c552二量体の立体構造では、N末端αヘリックスとヘムを含む領域が別分子の対応する領域とドメインスワッピングすることが明らかとなった。Cyt c552ではヘム鉄に配位するメチオニン残基の周辺のループで比較的強い水素結合ネットワークが形成されているため、二量化するとき、C末端αヘリックスは残りのタンパク質部分から解離しなかったと推測された。Cyt c552二量体ではメチオニンはヘム鉄に配位していたが、メチオニンはヘムが属しているプロトマーとは異なるプロトマーに属していた。Cyt c552単量体の熱安定性に重要なアミノ酸残基のパッキングは二量体でも保たれ、二量体は高い熱安定性を示した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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