本研究では、シアノバクテリア時計タンパク質KaiCの機能に重要な周期的な揺らぎを生み出す構造要因を探索し、その機能解析に基づいて、生物時計発振機能メカニズムを明らかすることを目的とした。KaiCは、類似した2つの構造(CIおよびCII部分)で構成され、6分子のKaiCがリング状に集合した六量体を形成する。CII領域にはリン酸化部位やATP結合ドメインが局在し、C末端領域はKaiAやKaiBが結合するとされる分子表面近傍に配置されていると想定され、KaiAの結合による構造変化を通じてリン酸化やATPase活性が促進されると考えられる。 平成23年度は、C末端領域を欠失させた変異型KaiCタンパク質を精製し解析することを目指した。実験開始後、目的のタンパク質の精製において、当初計画していたタンパク質発現系では、タンパク質の収量と精製度が不十分であることが判明した。そこで、発現系の変更を検討し、アフィニティ用のタグ融合部位を変更することにした。そのため、全体計画を変更し、計画の一部を翌年度に繰り越すこととなった。 変更後、大腸菌で変異型KaiCを発現精製したところ、解析に十分な収量と精製度をもつタンパク質を得ることができたので、KaiAおよびKaiBと相互作用、リン酸化状態、ATPase活性の測定を実施した。また、3つのKaiタンパク質を用いた生物時計再構成系による24時間周期の概日リズムの確認を実施した。
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