研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
23108506
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
豊増 知伸 山形大学, 農学部, 准教授 (60272085)
|
キーワード | ジテルペル / 生合成 / 酵素 / 物質生産 |
研究概要 |
本研究では、糸状菌のキメラ型ジテルペン合成酵素について、ゲラニルゲラニル2リン酸(GGDP)環化ドメインについてはサブドメイン交換により新規骨格形成するものを創製し、GGDP合成ドメインについては、既知のクローンについて活性が最も強いものを選択し、最終的にそれらを連結して機能的ドメイン交換酵素を創製することを目的とする。本年度は、これまで以上に実績例を増やすために、別の糸状菌Gibberella zeaeのキメラ型ジテルペン合成酵素遺伝子について調べた。菌体から調製したcDNAについてRT-PCRを行って、得られたクローンの塩基配列を決定した。プライマーは本菌ゲノム情報を利用し、推定ORFを増幅するためのものを設計して用いた。その結果、用いた菌体では、転写物はみられたものの、スプライシングされない読み枠がつながらないクローンしか得ることができなかった。そこで、アミノ酸配列相同性を基に、エキソンを予想し、それらのDNAを連結することで、人工cDNAを構築し、組換え酵素を調製してGGDPを基質とした変換実験を行った。その結果、GC-MS分析により生成物として新規なGGDP環化物を検出し、我々のデータベースに新たに1例を加えることができた。また、いくつかの糸状菌由来のGGDP環化ドメインについて組換えドメイン交換酵素を調製した。それぞれ目的のcDNA断片を連結し、大腸菌体でそれらを発現させることで組換え酵素は調製した。作成した20以上の組換え酵素全てについて、GGDP環化活性が消失し、目的の機能的ドメイン交換酵素を得ることができなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作業自体はうまく計画通りに進んだが、予想された結果と異なり、セスキテルペン環化酵素とは異なり、ジテルペン環化酵素の機能的ドメイン交換は困難であることがわかってきた。そこで、以下の12での計画変更を考えた。
|
今後の研究の推進方策 |
ドメイン交換による新造酵素は予想以上に困難であったので、新学術領域研究の同じ班員の方との共同研究により、ランダム変異によるGGDP環化酵素の触媒能改変、GGDP合成酵素の活性強化をスクリーニングする。
|