研究概要 |
アスペルギルス属でゲノム配列が明らかになった8種 (flavus, oryzae, terreus, niger, N. fischeri, fumigatus, clavatus, nidulans)にコードされるポリケチド合成酵素 (PKS) 遺伝子約250個を集め、そのドメイン構造(基本はKS, AT, ACP, KR, DH, ER, および CYC)を予測し、KSドメインが最も多様性を持つことを確認した。さらにその他の菌類及びバクテリアに含まれる繰り返し型PKSおよそ150個とあわせ、KSドメインの分子系統解析をおこなった。 その結果、還元型、非還元型、一部還元型のPKS遺伝子中で還元型が圧倒的に多くのサブグループを生成した(多様である)。また非リボソーム型ペプチド合成酵素 (NRPS) と隣接する PKS はドメイン構成が KS-AT-DH-KR-ACP となるPKS (メチルサリチル酸を作るタイプに同じ)と配列が類似することがわかった。これは nested fungal clade と呼ばれる進化的に actinobacteria 由来の PKS グループだけでなくそれ以外の糸状菌のみに見られる遺伝子グループでも成立するため、偶然ではないと考えられる。 さらに非リボソームペプチド合成酵素とPKSが近接するタイプの遺伝子の解析をおこない、オクラトキシン合成酵素が二通りあることを明らかにした。フェニルアラニンを付加する合成経路以外の生成経路を示唆することができたが実験による検証が必要である。
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