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2011 年度 実績報告書

非天然型生合成マシナリーのデザインと機能化

公募研究

研究領域生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御
研究課題/領域番号 23108509
研究機関東京工業大学

研究代表者

工藤 史貴  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00361783)

キーワードアミノグリコシド抗生物質 / カナマイシン / マクロラクタム抗生物質 / ビセニスタチン / ポリケチド生合成 / スターターユニット / 生合成マシナリー / データベース
研究概要

大環状ポリケチド抗生物質のうち、マクロラクタム抗生物質ビセニスタチンの生合成酵素機能解析を進め、特異アミノ酸スターターユニットの生合成酵素を明らかにすることができた。ついで類似天然物の生合成遺伝子クラスターを収集し、マクロラクタム抗生物質の天然型生合成マシナリーのデーターベース作成を行なった。その結果、天然物の構造に依存して特異スターター生合成遺伝子が存在することが明らかとなった。すなわち、それらを別のポリケチド生産菌に導入し機能化することができれば、新規マクロラクタム抗生物質を創製できる可能性があることが分かった。一方で、スターター生合成といえども、数段階の基質特異性の高い酵素反応を経て生合成されることが明らかとなり、一筋縄で非天然型生合成マシナリーを機能化できないことも分かってきた。また、天然型マクロラクタム生合成マシナリーの拡充のためにクレミマイシン生合成研究を開始し、そのスターターユニットの特異性を取り込み実験により明らかにした。
アミノグリコシド抗生物質に関しては、天然型生合成マシナリーの収集に努め、非天然型マシナリー構築に利用可能な特異生合成酵素遺伝子を見いだすことができた。このうち、臨床上重要なカナマイシン生合成マシナリーにおける2-オキソグルタル酸依存型ジオキシゲナーゼとNADPH依存型還元酵素によりカナマイシンA生合成に特徴的な脱アミノ化反応が触媒されることを明らかにすることができた。すなわち、生合成遺伝子クラスター比較から見いだされる遺伝子の特異性と化学構造の特異性は密接にリンクしており、非天然型マシナリーのデザインに向けて有用な情報を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マクロラクタム系抗生物質の生合成におけるアミノ酸スターターユニットの生合成酵素の機能を解明し、それに基づき、他のマシナリーにおける生合成機構を提唱することができた。また、アミノグリコシド系抗生物質に関しては、天然型生合成マシナリーの比較から見いだしたカナマイシン生合成に置ける特異酵素遺伝子が、カナマイシンの特異構造を形成する鍵酵素であることを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

平成24年度は,マクロラクタム系抗生物質とアミノグリコシド系抗生物質の生合成マシナリーに絞って研究を進める。マクロラクタム系に関しては、天然型生合成マシナリー情報を拡充させ、質の高いデータベースを作成する。また、機能解析を進め、非天然型生合成マシナリーをデザインするための特異酵素機能、基質特異性決定因子を特定する。アミノグリコシド系に関しても、質の高い天然型生合成マシナリーのデータベース構築を最終目標とすると同時に、特異生合成酵素の機能を解明し、非天然型生合成マシナリーのデザインに有用な酵素遺伝子の機能を解明する。アミノグリコシド系では、異種株生産菌に特異生合成遺伝子を導入することで非天然型生合成マシナリーを実際に構築し、新規抗生物質の生産も目指す。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The Last Step of Kanamycin Biosynthesis : A Unique Deamination Reaction Catalyzed by a α-Ketoglutarate-dependent Nonheme Iron Dioxygenase KanJ and an NADPH-dependent Reductase KanK2012

    • 著者名/発表者名
      H.Sucipto, F.Kudo, T.Eguchi
    • 雑誌名

      Angew.Chem.Int.Ed.

      巻: 51 ページ: 3428-3431

    • DOI

      10.1002/ange.201108122

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Natural Protecting Group Strategy To Carry an Amino Acid Starter Unit in the Biosynthesis of Macrolactam Polyketide Antibiotics2011

    • 著者名/発表者名
      Y.Shinohara, F.Kudo, T.Eguchi
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc.

      巻: 133 ページ: 18134-18137

    • DOI

      10.1021/ja208927r

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Biosynthetic pathway of macrolactam polyketide antibiotic cremimycin2011

    • 著者名/発表者名
      K.Amagai, F.Kudo, T.Eguchi
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 67 ページ: 8559-8563

    • DOI

      10.1016/j.tet.2011.08.073

    • 査読あり
  • [学会発表] マクロラクタム配糖体抗生物質クレミマイシン生合成遺伝子のクローニング2012

    • 著者名/発表者名
      天貝啓太、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      第92回日本化学会春季年会
    • 発表場所
      慶應大学(横浜)
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] 24員環マクロラクタム抗生物質インセドニンの特異なアミノ酸のスターター生合成機構2012

    • 著者名/発表者名
      高石真、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      第92回日本化学会春季年会
    • 発表場所
      慶應大学(横浜)
    • 年月日
      2012-03-28
  • [学会発表] マクロラクタムポリケチド抗生物質ビセニスタチンの生合成におけるアミノ酸スターター部位の構築機構2011

    • 著者名/発表者名
      篠原雄治、小笠原泰志、工藤史貴、江口正
    • 学会等名
      第53回天然有機化合物討論会(2011)
    • 発表場所
      大阪国際交流センター
    • 年月日
      2011-09-28
  • [学会発表] Characterization of glycosyltrasferases in the biosynthesis of kanamycin and gentamicin2011

    • 著者名/発表者名
      F.Kudo, H.Sucipto, K.Ota, T.Eguchi
    • 学会等名
      日本放線菌学会2011
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-09-08
  • [学会発表] Biosynthesis of macrolactam antibiotic vicenistatin2011

    • 著者名/発表者名
      F.Kudo, Y.Shinohara, T.Kitayama, Y.Asou, M.Watanabe, T.Eguchi
    • 学会等名
      International Union of Microbiological Societies 2011 Congress (IUMS2011 Sapporo)
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-07
  • [備考]

    • URL

      http://www.cms.titech.ac.jp/~eguchi/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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