研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
23108510
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
片岡 正和 信州大学, 工学部, 准教授 (90332676)
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キーワード | 微生物遺伝 / ゲノム進化 / 放線菌 / 接合伝達 / SAP1 / 中間宿主 / 大腸菌 / 生合成マシナリー |
研究概要 |
23年度の研究計画と実施内容を以下に示す。 【SAP1のベクター化】では放線菌宿主の遺伝子改変、SAP1への組み込み部位の導入、SAP1ベクターシステムの開発を研究目標に掲げ、Streptomyces avermitilis由来の巨大線状プラスミドSAP1をベクターとして扱う方法の開発を行った。共同研究者で計画班の池田により作製されたSAP1上に部位特異的組換えサイトを持つSAP1を、接合伝達を利用して放線菌間で自在に動かすため宿主として利用予定のS, lividapsゲノム上の組み込み部位を破壊した。作製した菌株にSAP1誘導体を接合伝達を用いて導入し、中間宿主を作製した。この作製した中間宿主に大腸菌から接合伝達を利用して遺伝子を送り込み、送り込んだ遺伝子がSAP1上に設計どおりに組み込まれたことを確認した。さらにクラブラン酸生合成遺伝子群やラクタスタチンの生合成遺伝子群を送り込み、SAP1上への組み込みを確認した。さらにこれらのSAP1誘導体が大腸菌からの接合伝達効率の低い菌株へ高効率で伝達されることを明らかにした。 【接合伝達の応用】ではSAP1への高効率接合伝達能力の付与を目標にしていたが、SAP1が持つ接合伝達能力が想定よりずっと高いことが実験的に証明できたので、SAP1の接合伝達システムをそのまま利用することにした。 【高速放線菌遺伝子群改変システムの樹立】ではS.lividansへ属間接合伝達で大型DNAを輸送する大腸菌宿主の改良を目的とした。初期型のRP-4システムをゲノムに組み込んだS17-1株はMu phageのゲノムをそのゲノム上に残存させているため、遺伝的安定性に難があると予想される。そのため S17-1ゲノム上のRP-4組み込み部位の構造を明らかにすると共に、scarless deletionという独特の手法でMu部位を除去した。なお、この項目は本課題連携研究者である奈良先端大の森研究室によるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
使用菌株の性質が想定より遙かに我々の系に向いており、初期に困難を予想していた部分もあっさりと開発できた。2年計画のほとんどの部分を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
世界初の接合伝達を多用する巨大DNAの操作法に関して道はある程度つけられた。今後、領域に対しては生合成遺伝子クラスターを実際に導入して実用性を証明し、しかるべき上級雑誌に投稿する準備をすすめる。また、合成生物学の手法としても重要なので、その方面の開発も進める予定である。科学研究費補助金のサポートに感謝します。
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