研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
23108516
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田浦 太志 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (00301341)
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キーワード | オオケビラゴケ / ビベンジルカンナビノイド / 生合成 |
研究概要 |
苔類ケビラゴケ科のオオケビラゴケ(Radula perrottetii)は大麻のカンナビノイドに類似した構造のビベンジルカンナビノイドであるperrottetineneを生産することが報告されている。Perrottetineneはその構造から、ポリケタイド合成酵素、プレニル転移酵素及び酸化閉環酵素の三種の生合成酵素が関与して生合成されると推定しているが、これを検証した研究は見られない。本年度はperrottetineneの生合成に関与する酵素遺伝子の解明を目的としてオオケビラゴケのEST解析を検討した。即ち、新鮮なオオケビラゴケからRNAを抽出して、所定の操作に従いcDNAライブラリーを調製し、次世代シークエンサーであるイルミナ社ゲノムアナライザーを用いてショットガンシークエンスを行った。得られた短鎖配列に関し、各種ソフトウェアを用いたアセンブルを行い、それぞれ数万単位のコンティグを含むESTデータを構築することができた。次いで、カンナビノイド生合成経路の酵素群を含め、既知の植物ポリケタイド合成酵素、プレニル転移酵素および酸化閉環酵素をキュエリーとするBLAST検索を行うことで、ESTデータベースよりこれらと相同性を示すコンティグを抽出し、オーバーラップするコンティグ同士のつなぎ合わせ、あるいはPCR(RACE法)を行うことにより、完全長の遺伝子配列を決定した。以上の操作により、オオケビラゴケからポリケタイド合成酵素、プレニル転移酵素、および酸化閉環酵素の候補遺伝子をそれぞれ6、8および4種クローン化することに成功した。現在、生合成遺伝子を特定するため、大腸菌あるいは酵母を宿主としてそれぞれの組み操え酵素発現系を構築中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は生合成遺伝子の特定までを行う計画であったものの、候補遺伝子のクローニングまでにとどまっているため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の進捗はやや遅れていると判断しているが、本年度の検討によりビベンノルカンナビノイド生合成酵素の候補遺伝子が得られていることから、次年度は組み換え酵素のキャラクタリゼーションによる生合成遺伝子の特定と、これを用いたバイオテクノロジーによる生物生産の検討を進め、当初の計画を達成する。
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