研究実績の概要 |
放線菌Streptomyces reveromyceticusのゲノム情報から、相同性検索により、機能未知III型ポリケタイド合成酵素(III型PKS)、9488を見出した。9488遺伝子を放線菌用の高コピープラスミドベクターpIJ6021にクローニングし、pIJ6021-9488を作製した。S. lividans TK21/pIJ6021-9488を培養したところ、その上清から未知化合物が4種見出された。これら未知化合物をMS、NMR解析により構造決定したところ、4-hydroxy-3-methyl-6-(4’-isopentyl)-2-pyroneおよびその類縁体3種であることが分かった。 常法により組換え9488を調製した。上記の化合物の構造から、9488は放線菌生体内においてβケト酸のアシルキャリアプロテイン(ACP)エステルをスターター基質に用いると考えられた。そこでACPのアナログであるN-acetylcysteamine (NAC)を用いβケト酸とのエステル(3-oxo-C9-NAC)を有機合成により調製した。スターター基質3-oxo-C9-NACを伸長鎖基質methylmalonyl-CoA、組換え9488と共に振とうしたところ、4-hydroxy-3-methyl-6-(4’-isopentyl)-2-pyroneが得られた。9488のmethylmalonyl-CoAに対するミカエリス定数(Km値)は3.70 ± 0.47 μM、回転数kcat は26.6 ± 1.1 min-1 (n = 3, mean ± S.E.)であった。9488は、4-hydroxy-3-methyl-6-(4’-isopentyl)-2-pyroneを主生成物にする。そのため、9488を”methyl pentyl pyrone synthase(MPPS)”と命名した。
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