研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
23108524
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
藤井 勲 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (70181302)
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キーワード | 菌類 / ゲノム / 海洋資源 / バイオテクノロジー |
研究概要 |
海生糸状菌の二次代謝産物生合成遺伝子の解析を目的として、デカリン骨格を有し微小管重合阻害活性が報告されているphomoposidinの生産菌Phomopsis sp.TUF 95F47と、特異なビシクロ環系を有し神経突起生成活性が報告されているshimalactone Aの生産菌Emericella variecolor GF10の2株について、ドラフトゲノムデータをもとに解析を進めた。まず、保存性の高いPKS縮合酵素領域に基づくPCR amplificationにより、両菌株の還元型ポリケタイド合成酵素(PKS)遺伝子の解析を行い、これまでにPhomopsis sp.より還元型PKS断片として、Phm I~VIIIの8断片を得、ドラフトゲノムにおいて各配列を含むcontigを同定した。また、E.variecolorからPCRで得られた還元型PKS断片は、EvKS_IIと名付けた1種類の断片であったため、この断片を含むcontigを検索し、contig-564中にその配列を確認した。contig-564の配列より、EvKS_IIを含むPKS全長遺伝子について、全長7,685 bpで1個のイントロンを持つものと推定した。このEvII-PKS遺伝子をPCRで増幅し、エントリーベクターにサブクローニング後、Gateway法により糸状菌の発現プラスミドpTAexRに組込み、発現プラスミドpTA-EvIIを構築した。このpTA-EVIIをAspergillus oryzae M-2-3に形質転換・導入し、誘導培養によりEvII-PKS遺伝子特異的な化合物の生産を確認し、現在、その単離と構造解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糸状菌のポリケタイド合成酵素遺伝子はサイズが大きいため、発現系の構築に時間がかかったり、また、生産化合物も安定性の問題があるなど困難な点もあるが、1つずつ進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、phomoposidinの生産菌Phomopsis sp.TUF 95F47、およびshimalactone Aの生産菌Emericella variecolor GF10の2株について、ポリケタイド合成酵素を中心として、各種二次代謝産物生合成遺伝子、生合成遺伝子クラスターのバイオインフォマティクスによる解析を進めるとともに、見出された候補遺伝子の異種糸状菌発現系を構築して、生産化合物の解析を進め、ターゲットとするphomopsidin、shimalactone Aの生合成遺伝子クラスターの同定を目指す。また、既知の陸生糸状菌ゲノムデータと比較することにより、海生糸状菌として陸生糸状菌とは異なる特異な代謝系についても二次代謝系を中心として解析を試みる。
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