研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
23108527
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
久城 哲夫 明治大学, 農学部, 准教授 (80373299)
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キーワード | ステロイド / 酸化酵素 / 生合成 / 糸状菌 / ヘルボール酸 |
研究概要 |
ステロイドやトリテルペノイド化合物の骨格修飾に関与する酸化酵素群を数多く同定することは、有用物質生産へ向けた重要な生合成マシナリーツールを提供することにつながる。糸状菌Aspergillus fumigatusが生産するヘルボール酸は、プロトステロール骨格が高度に酸化修飾された構造を有しており、本生合成遺伝子クラスター内の酸化酵素群を機能解析することで骨格修飾に関与する酵素遺伝子を多数同定することが可能である。これまでに、クラスター内のシトクロムP450酸化酵素(P450)であるCYP5081Al、ならびにデヒドロゲナーゼ(AfuSDR)の機能解析に成功しており、各々プロトステロールの29位メチル基の酸化および3位水酸基の酸化を行っていることが判明している。 そこで、両酵素が同時に機能することで、ヘルボール酸へ向けたC29脱メチル化を触媒しているのではないかと予想された。CYP5081A1およびAfuSDRを、プロトスタジエノール合成酵素であるAfuOSCと共に共発現を行うべく、選択マーカーの異なる2種類の酵母発現ベクターpESCに各々導入し、3遺伝子共発現系を構築した。形質転換酵母を誘導培養の後、ヘキサン抽出画分のGC-MS解析を行ったところ、3遺伝子発現体にのみ特異的なピークが観測され、MSスペクトルより脱メチル化産物の分子量に相当するm/z 410のイオンが見られた。さらにフラグメントイオンを詳細に検討したところ、本化合物が脱メチル化産物であることが強く示唆された。 さらに、クラスター内の他のP450遺伝子の機能解析を行うべく、各々のクローニングと酵母発現ベクターへの導入を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵母での3遺伝子共発現系の構築により、脱メチル化体とみられる産物の検出に初めて成功することができたため、今後の他のP450遺伝子の共発現解析への展開が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
クラスター内の他のP450遺伝子の機能解析を進めていく。その際、酵母での発現において活性の低下が懸念されるため、P450への電子伝達系のパートナーであるP450還元酵素遺伝子の取得と、共発現も行っていく。
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