研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
23108528
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研究機関 | 公益財団法人かずさDNA研究所 |
研究代表者 |
鈴木 秀幸 公益財団法人かずさDNA研究所, 産業基盤開発研究部, 主任研究員 (80276162)
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キーワード | オミックス統合解析 / サポニン生合成 / 酸化酵素 / オキシドスクアレン環化酵素 / 次世代シークエンサー / EST解析 / ウリ科植物 / 苦味配糖体 |
研究概要 |
ウリ科植物の苦味配糖体サポニン生合成系酵素遺伝子群の機能解析 本研究では、次世代シークエンサーによるEST(Expression Sequence Tag)情報の整備及び質量分析機器による代謝物の網羅的解析を通して、ウリ科ニガウリ(Momordica charantia)の果実に含まれる苦味配糖体サポニン生合成に関与する酵素群[オキシドスクアレン環化酵素(OSC)、酸化酵素(P450等)及び糖転移酵素(GT)]の遺伝子を同定し、生合成経路を解明することを目的とする。二次代謝生合成研究の推進にオミックス(次世代シークエンサーによるトランスクリプトーム及び質量分析機器によるメタボローム)解析を最大限活用する新たな手法を提案する。 ウリ科植物に特有のcucurubitadienol合成酵素(McQ)遺伝子をNested-PCR法及びRACE法により行い、762アミノ酸残基をコードするcDNAをクローニングした。酵母発現系を用いGC-MS分析によりMcQ活性を検出した。また、Real-time PCR手法によりMcQ遺伝子発現の組織間比較解析を行い、葉において高いMcQ遺伝子発現を確認した。さらに、キュウリゲノム情報からトリテルペン生合成遺伝子クラスターの存在が示唆され、cucurubitadienolのトリテルペン骨格を直接酸化する酵素にCYP81が関与している可能性が示唆された。ニガウリ由来のCYP81遺伝子を単離するために、次世代シークエンサー(Roche 454 GS FLX及びIllumina GAIIx)にて、種々の植物器官(葉、果実等)でのmRNA-Seq解析及びCYP遺伝子の相同性配列ネットワーク解析より、499アミノ酸残基をコードするニガウリ由来CYP81(McCYP81)遺伝子の情報を得ることができた。現在、本McCYP81 cDNAのクローニングを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二次代謝生合成研究の推進に対し、次世代シークエンサーによるEST情報の有効活用を提案しており、今回、CYP遺伝子の相同性配列ネットワーク解析という新しい手法を取り入れ、目的の遺伝子の情報を得ることに成功している。また、現在、ウリ科植物に特有のcucurubitadienol合成酵素(McQ)遺伝子の単離と機能同定も終了している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策について、McCYP81遺伝子の機能同定及び次のステップのアセチル化酵素、配糖化酵素のcDNAクローニングを行う予定である。 二次代謝生合成研究の最も重要な課題として、酵素遺伝子の単離に続き、酵素機能同定を検証する上で、酵素基質の同定が必要不可欠である。本研究では、植物より粗代謝物抽出を行い、大腸菌発現系及び酵母発現系と加水分解した粗代謝産物分画を用いて、質量分析機器による網羅的代謝物(メタボローム)解析を通して、酵素基質の同定を行う予定である。
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