研究領域 | 高次π空間の創発と機能開発 |
研究課題/領域番号 |
23108721
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
羽曾部 卓 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70418698)
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キーワード | 光エネルギー変換 / ポルフィリン / 分子集合体 / 光誘起電子移動 / 配位結合 |
研究概要 |
自己組織的手法を利用した分子集合体は単量体とは異なる光・電子物性の発現が特徴であり、エネルギー変換材料をはじめとする多彩な応用展開が期待できる。配位結合は比較的強固な結合力を有するため、配向性の高い集積構造を分子集合体内部に構築できる。特に、光捕集能及び電子移動特性に優れ、合成化学的に構造制御可能なポルフィリンを用いれば、分子レベルでの精密な構造制御に伴う新たな光機能が発現される。 本研究ではまず、多孔性配位高分子に代表される金属架橋の強固な分子集積能に着目した。多座配位の配位結合を駆動力とした分子集合体において、直径100nm程度でそのアスペクト比のみが大きく異なるポルフィリン集合体を系統的に作り分けることに成功した。また、X線構造解析、定常及び時間分解分光法によるナノ結晶における三重項励起状態の光ダイナミクスについても詳細な評価を行った。 一方、亜鉛テトラピリジルポルフィリン[ZnP(Py)_4]が構築する特異な六角柱型結晶特性を利用して中空構造を有するチューブ状棒状分子集合体に関する系統的な研究展開を行った。本研究ではZnP(Py)_4ナノチューブ(外層)の高い光捕集および酸化還元機能と内包されるTiO_2ナノ粒子の光触媒機能を組み合わせた新規な棒状のポルフィリンナノロッドの作製および光触媒機能について検討を行った。その結果、水溶液中にて可視光照射による水素発生を観測することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的とする分子集合体の構築は概ね成功している。また、次年度へ向けた光触媒系構築の足がかりも見つかり順調に研究展開は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は昨年度作製した分子集合体を用いて系統的な応用展開を図る。具体的には光触媒システム(水素発生系)および光電変換系(太陽電池)である。前者の光触媒システムについては既に水素発生が確認されているので高効率化をめざす。後者の光電変換系については基板上への薄膜集積化の技術確立が重要な鍵となるため、界面活性剤等を用いて問題点克服に努める。
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