我々はこれまでに亜鉛テトラピリジルポルフィリン[ZnP(Py)4]によって構成される特異な六角柱型結晶特性を利用して中空構造を有するナノチューブ状棒状分子集合体と光エネルギー変換系への展開を行ってきた。本研究では新たにZnP(Py)4ナノチューブ(外層)の高い光捕集および酸化還元機能と内包されるPt/TiO2ナノ粒子の光触媒機能を組み合わせた新規なポルフィリンナノロッド[Pt/TiO2- ZnP(Py)4 nanorod]の作製を行った。 Pt/TiO2ナノ粒子は過去の報告例に従って合成した。ポルフィリンナノロッドは0.80 mM cetyltrimethyl-ammonium bromide (CTAB)水溶液(15 mL)を調整し、一方で0.25 mM ZnP(Py)4およびPt/TiO2ナノ粒子(0.5 g L#8211;1)のDMF溶液を別途調整した。その後、DMF溶液を水溶液に混ぜ合わせて室温で30分間撹拌し、集合体を作製した。走査型電子顕微鏡 (SEM) にて構造評価を行ったところ、Pt/TiO2粒子を含まない集合体では中空構造を有する多数のチューブ状集合体が観測されるが 、Pt/TiO2粒子を含む場合は中空内部が埋まった棒状構造となる。 次に、フタル酸緩衝液 (pH = 4.5) 中、電子源としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)もしくはアスコルビン酸を用いて420 nm以下の紫外領域をカットしたキセノンランプ光 (300 W) を用いて光触媒反応を行った。10時間光照射を行ったところ、ガスクロマトグラフィーにて2 μmolの水素発生を確認した。また、ZnP(Py)4ユニットの内包の効果について検討するために、単位白金量当たりの水素発生量を比較したところ、ZnP(Py)4六角柱構造に内包化された場合は100 倍以上の水素発生量を観測した。
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